AKBの執事兼スタッフ 2 Chapters











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第9章 専属
79 Storys 〜キャプテン〜
 アルコールも手伝って、三人は他愛のない話で盛り上がる。

「晃汰がAKBさんに行ってた時、まいやんはいっつも死んだ魚の眼してたよね。ため息ばっかりでさ〜」

「そんなことないって!玲香だって、いつも以上に空回りしてたじゃん!」

 晃汰の眼の前で、乃木坂のエースとキャプテンが全力で戯れている。彼はその光景を面白がって動画に撮り、それを乃木坂LINEに送り続けた。

「それで、ちょっと二人に話があるんだよね・・・」

 桜井は会話がひと段落するのを待って、低いトーンでテーブルに眼を落とした。晃汰も白石も何かを悟ったような表情を浮かべ、気持ちを落ち着かせた。

「私、乃木坂を卒業しようと思うんだ。9月の神宮ライヴで最後って、もう決めちゃってるんだけどね・・・」

 笑顔の奥にどこか哀しみを孕んだ表情で、桜井は二人を見比べる。何処か浮かない表情の晃汰とは対照的に、桜井の決心を後押しするかのような表情を白石は浮かべている。

「俺が戻ってきたから、出て行くって訳ですか?」

 晃汰は眼を俯かせたまま、低い声で桜井に問う。

「そんなことないけど、言い方を変えれば『晃汰がいてくれるから卒業できる』んだよね」

 長い髪を耳にかけた桜井は、初めて眼を合わせてきた晃汰の眼をジッと見つめ直す。

「玲香さんの代わりなんて、俺なんかができる訳ないじゃないですか」

 半ば不貞腐れた口調で、晃汰は吐き捨てる。そんな晃汰を宥めるように、桜井は続ける。

「次期キャプテンは育てられても、次期ギタリストなんて無理でしょ?だから晃汰が戻ってきてくれて、私は安心して卒業できるの」

 清々しい桜井の笑顔に、晃汰は返す言葉を探す事すら忘れてしまった。

「また詳しく決まったら教えるから、それまでよろしくね、ギタリスト君」

 桜井は二の腕から露わになった腕を振り上げながら、白石と晃汰に背を向けた。残された二人は、ただ呆然と彼女の後ろ姿を見えなくなるまで見続けた。

「ねぇ、晃汰?」

「なんですか?黒石さん」

 喪失感に駆られた二人だったが、先に白石が声を発した。

「二人で飲み直さない?」

 白石はアイドルらしからぬ言葉を発する。

「良いすけど俺、金おろさないとお金ないです」

 晃汰は必死に自分の財布の中身を確認するが、探しても探しても福沢諭吉が顔を見せることはなかった。

「んふふ・・・実は、氷結が無料で飲み放題のお店知ってま〜す」

 無邪気に右手を振り上げ、白石は主張する。

「じゃあそこにしましょう。どうせツーフード注文とかでもそんなにしないと思うし・・・」

 晃汰はやれやれと頷き、先を歩く白石の後を大きく間隔を空けて追った。



■筆者メッセージ
ん〜エロチックな展開にしましょうかねぇ、悩みますね笑
Zodiac ( 2019/07/28(日) 21:53 )