AKBの執事兼スタッフ 2 Chapters











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第8章 48or46
66 Storys 〜発令〜
NGT48の一連の事件が世間に知れ渡り始め、京介が予見してようにNGT運営の対応の不十分さに、ファンのみならず内外部から批判が殺到するという異例の事態に発展した。そしてとある日、晃汰はAKSの本部より連絡を受け、会見の場に臨んでいた。

「君も知っていると思うけど…」

晃汰と相対しているのは、彼の知っている人物ではなかった。かの有名な戸賀崎智信は既に48グループより離れており、晃汰は恩人を一人失っていた。そして今彼の目の前に座る役員は、白髪混じりの頭を撫でながら晃汰の顔色を伺う。

「現在、48グループはかつてない逆風に晒されています。新潟の件でね…その一件が原因で、スタッフも相当数の人数が希望退職しています。そこで相談です…」

老眼鏡の奥の眼が変わるのを、晃汰は見逃さなかった。

「丸山くんに、48グループに戻ってきていただきたい。即ち、留学の修了です。今よりももっと上の席も用意していますよ」

役員は得意げに話し、メガネを直した。さらに彼は続ける。

「君の音楽活動をサポートする準備も整っています。チームを立ち上げて、君がやりたい事はなんでも実現できるようにします」

そこまで言い終わり役員は、数枚が綴られたリングファイルを晃汰に差し出した。表紙こそ何の表記もなかったが、中にビッシリと書かれた内容は、晃汰にとって好条件しかなかった。

「すぐにとは言わないが、異動の準備をしてほしい。一週間を目処に戻ってきてもらいたい」

「一週間!?」

晃汰は初めて口を開き、椅子から立ち上がった。

「お言葉ですが、幾ら何でも早くはないですか?」

「申し訳ない、もう決まってしまった事だ」

役員様は立ち上がり、晃汰の肩に手を置いてから部屋を出て行った。部屋には晃汰と、彼にとって好条件しか盛り込まれていない復帰プロジェクトの資料が置かれていた。


Zodiac ( 2019/06/01(土) 22:20 )