AKBの執事兼スタッフ 2 Chapters











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第5章 47人目のギタリスト
46 Storys 〜送り出し〜
 左腕に寄り掛かる重い存在何かに気付き、晃汰は眼を覚ました。 天井を見上げる眼を左に移すと、広い額を自身の腕にくっつけて寝息を立てている森保がいる。 彼女の端正な顔を凝視した晃汰は、自身の下半身に纏わりつく彼女の脚を堪能する。 指でなぞり、爪先で擦り、そして掌で包み込む。 晃汰の手は段々と上に上がっていき、やがて、写真集やグラビアでも惜しげもなく披露された小さなお尻へと到達した。 

  「・・・変態」

 森保の身体を味わうのに集中していた晃汰は、彼女が眼を覚ますのに気づかなかった。 見下すような眼を向けてくる森保をお構いなしに、晃汰はさらに彼女の丸みを帯びた身体を彷徨った。

 二人は抱き合ったまま、つかの間の二度寝を楽しんだ。 お互いの体温を感じながら、そしてお互いの鼓動を感じながら。

  「もう少しゆっくりしていけばいいのに」

 残念そうに車を運転する晃汰は、少し眼に精気が足りていない様子で、それを察した森保は助手席から身を乗り出して彼にキスをした。 それでも、晃汰の孤独感は癒えることはなかった。 

 東京駅近くの路地に86を停め、晃汰はバケットシートにもたれかかった。 大きなため息を吐き、トランクを開けるボタンを彼は押した。 ボンという音を立ててトランクのロックが外れるのを確認し、晃汰はシートベルトを外した。 晃汰が運転席のドアノブに手を伸ばした時、助手席に座る森保は強引に彼の手に自身の手を伸ばし、引き止めた。 そして、彼の顔を自分の方に向かせ、徐にKISSをした。 

  「またすぐに会えるよ。 それまで待っててね」

 上目づかいで晃汰を見る森保の眼は潤んでいた。 それだけで晃汰の心臓は極限を迎えそうになってしまった。 最後は晃汰の方から口づけをし、森保は真っ赤なスポーツカーから降りて、スーツケースを転がして東京駅へと消えていった。

 突如として喪失感が襲ってきた晃汰は、しばらくの間、愛車を発進させる気にもなれなかった。 やっとの思いでスマホを手にとると、彼は昔から知っている男の名前をタップし、スマホを耳に当てた。 

  「今夜空いてるか? いや、空いてなくても明けろ」

  「なんだ、森保に逃げられたか?」
 
  「まぁそんなとこ。 今夜は付き合ってくれ」

  「しょうがねぇな・・・ 6時にお前んち行くよ」

  「待ってる」

 電波の向こうの京介は含み笑いをしながら、一方的に告げて通話を終わらせた。 やっぱり京介は京介だな・・・ 晃汰はフッと口元を緩め、クラッチを踏んでギアをローに入れた。 左足の感覚だけを信じながら、彼はアクセルを調節した。

Zodiac ( 2018/03/04(日) 22:07 )