AKBの執事兼スタッフ 2 Chapters











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第4章 坂シリーズ
25 Storys 〜密談〜
 アイドルとスタッフの飲み会は一軒では終わらず、二軒目は晃汰が知っている会員制のバーへと移った。 会員制なうえに個室を晃汰は予約したので、周りの客からみられる心配がない。 ここまで配慮したギタリストだったが、一杯目を飲み切る前にテーブルに突っ伏してしまった。

  「本当に弱いんだねぇ・・・ 可愛い」

 テーブルの向かいから腕を伸ばし、晃汰の頬をツンツンしながら衛藤は呟いた。 

  「まだ二十歳になって数か月だもんね、よく美彩について行ってた方じゃない?」
 
 自身の着ていた上着を隣で寝るギタリストにかけてやりながら、白石は衛藤を横目で見る。

  「けど、お酒自体はそんなに飲んでなかったけどね」
 
 衛藤は笑いながら、カクテルのグラスに手を伸ばした。

  「・・・こうしてまいやんと二人っきりで話すのも久々だね」
 
  「ファンの人達の間だと、仲悪い感じになってるけどね」

 白石は自嘲気味に笑い、蒼いカクテルを口に含んだ。

 二人の話は自然と、橋本の卒業の一件に向かっていった。 同世代の橋本の卒業は、予想以上に彼女たちに自分の今後の進退を問う材料となり、どちらとも写真集が売れに売れてしまったから、どうしてもやり切ってしまった感情が頭のどこかにいるのだ。

  「でも、まだ乃木坂にいたいんだよね・・・ やりたいことは他にいっぱいあるけど、乃木坂にいた方が楽しいと思う」

 白石は衛藤に真剣な眼を向けて話し、衛藤も頷く。

  「そうだよね。 私たちは年齢的にっていう時期にもなってきたけど、まだまだ乃木坂でバナナマンさんとかと一緒に番組やりたいよね」

 ため息を吐きながら、衛藤は肩を落とし、白石も同情するかのように首を振る。
 
 暫くの間、二人には沈黙があった。 話題に尽きたわけではなく、話しているうちに自身の今後について不安も期待も募ってしまい、まじめに考えていたのだ。
 
 そんな時、寝ているギタリストが寝言を発した。

  「・・・アンコール行きますよ、まいやんさん」

 呆気に取られていた二人ではあったが、口元を抑えて彼女たちは笑った。 

  「私たちの為に頑張ってくれる人がいてくれるんだから、卒業なんてしてられないよね!」

 豪快にカクテルを飲み干し、白石は決意を新たにする。

  「私も、まだまだ乃木坂の衛藤美彩だよ!」

 こちらも負けじと、何杯目かのカクテルを衛藤は飲み干す。 何杯目のカクテルだろう と、白石はふと思った。
 

■筆者メッセージ
まだ乃木坂ゾーンは外れません(笑) 感想お待ちしてます!!
Zodiac ( 2017/09/10(日) 11:11 )