AKBの執事兼スタッフ 2 Chapters











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第4章 坂シリーズ
16 storys 〜宴会〜
 初めての挨拶をしたその日の夜、近しいスタッフと主要メンバー達による晃汰の歓迎会が開かれた。 居酒屋だといろいろと面倒なので、家族向けの食べ放題の店で行われた。 

  「えっと、丸山君はAKBさんでは何て呼ばれてたの?」

 ポンコツキャプテンこと桜井玲香が、酒も入っていないのに饒舌で晃汰に絡む。

  「人それぞれでしたよ。 けど、『丸ちゃん』とか普通に『晃汰』が多かったですかねぇ」

 掌同士を擦り付けながら、隣に座る桜井の眼を見ながら晃汰は答える。 それを聞いた桜井は、見るからにあほっぽそうな顔をして、必死に新加入のスタッフの呼び名を考えた。

  「やっぱり乃木坂でも、ギター弾いたりするの?」

 晃汰にとって願ってもない人物から、しかも大好物の話題が振られた。 

  「一応、僕としてはそのつもりです。 乃木坂の楽曲でも、弾いてみたい曲が何曲もあるんですよ」

 生まれ年は同じだが、学年が一つ上の生田絵梨花に微笑みを添えながら答える。 さらに彼は生田に対して続ける。

  「生田さんと一緒に曲、作ってみたいんですよ。 ギターとピアノが揃えば、それなりのものはできると思うんで・・・」

 コーラを飲み干しながら、ギタリストはアイドル界屈指のピアニストに宣戦布告をする。 対する生田もまんざらではない様子である。

  「楽しそう! ピアノの作曲はできるけど、ギターとかまったくわからないから、教えてね!」

 まどかと同じような事を言うのね・・・と、晃汰は頭で森保の顔を思い浮かべながら、目の前のピアニストに悪戯な眼を向ける。 

 折り返し地点を過ぎた食事会は、参加者たちの予想の斜め上をいくほどの盛り上がりを見せている。 晃汰の周りをメンバーが入れ替わり立ち代わり、そのたびに笑いが生まれる。 乃木坂の冠番組を予習していた晃汰は、そこで得た付け焼刃程度の知識をフルに活用し、芸人顔負けのいじりを披露する。 桜井キャップと若月のレズネタから始まり、終いには西野のマイクの持つ位置まで晃汰はいじり倒した。 だが、そのどれをとっても不快に感じるメンバーは一人もいなかった。 それは細部にまで晃汰の心遣いが行き届いていて、なおかつ周りのメンバーがお互いを尊重しあっていたからである。 晃汰はここでも、AKBとはいい意味で違う空気を感じ取ったのだ。

  「ただいまー」

 時計が12時の針に手錠をかける前に、晃汰は家の門をくぐった。 特に門限は設定されていないが、帰れるなら日付をまたぐ前に帰ろうと晃汰自身で決めている。 例によって、扉の向こう側に執事の吉田が背筋をピンと伸ばして待っていた。

  「お帰りなさいませ、おぼっちゃま。 お客人がお見えですので、おぼっちゃまのお部屋にお通ししました」

  「誰?」

 いきなりの訪問に驚きながら、晃汰は吉田に問う。 だが、吉田は微笑むだけで名前は明かさなかった。 不満そうに口元をゆがめる晃汰ではあったが、大体は予想がついていた。

■筆者メッセージ
もう少しで今年も終わってしまいますね・・・ 来年もどうか読んでいただければと思います!
Zodiac ( 2016/12/28(水) 22:18 )