AKBの執事兼スタッフ 2 Chapters











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第2章 まどかデイ
6 Storys 〜潜入〜
 執事とその彼女の弟が合流したのは、だいぶ日が傾いてきている午後4時ぐらいだった。 昼間にめいっぱい博多観光を楽しんだ晃汰の顔は充実感に溢れているのを、彼の1つ下の浩樹は微かに感じ取る。 久しぶりの休日なのだろうなと弟分は考え、兄貴分の調子に自分のペースを合わせる。 自身と1つしか違わないのに、考えていること、やっていることがまるで大人(adult )であると同時に、どこか子ども(child)な晃汰に、心底憧れを浩樹は抱いている。 

 劇場の外で宮脇と連絡を取り、晃汰と浩樹は森保にバレないように楽屋へと忍び込むことに成功する。 ちょうど宮脇を除くメンバー達はステージでリハーサルを行っており、雑誌の取材と偽って宮脇は抜け出してきたのである。 今回の森保サプライズの裏には、この宮脇の功績も大きな意味を持っている。

  「これさ、俺から預かってきたって言って渡してよ、まどかに」

普段、手紙をしたためることを晃汰はしないのだが、今回に限っては大事な人の誕生日なので、進んで彼はペンを握った。 あまり字は綺麗な方ではないが、その歪さにも愛が垣間見え、森保への想いがひしひしと伝わってくる。 そんな手紙が入った封筒を宮脇は受け取り、化粧台に置いてある自分のバッグに丁寧に押し込む。 誰かに見られないように口を閉じ、壁にかけられている時計とステージの状況をリアルタイムで確認できるモニタに彼女は眼を移す。 相変わらず大勢のメンバーが所狭しと舞台上で踊り、唄っているところが映し出されており、宮脇は2人に向き直る。 適当に隠れているように晃汰と浩樹に言い残し、足早に彼女はステージへと戻った。 

 香水の匂いと衣装で充満する楽屋に残され、やることがなくなった2人はとりあえず無造作に置かれているパイプ椅子に腰かけた。 楽屋中をぐるりと見渡す晃汰と浩樹は、思い思いの感情を抱く。 まだ初心な浩樹は、女性が付ける香水の匂いにドキドキしてどこか落ち着かない様子である。 対する晃汰は脚と腕を組み、もう少し綺麗にできないものかなと溜息を吐いている。 

 そんな時、大勢が楽屋に面する廊下を近づいてくる足音が2人の耳に入った。 ステージでリハを終えたメンバー達が、汗を拭いながら楽屋へと歩いているのである。 晃汰はとっさに楽屋と隣接する倉庫の存在を思い出し、浩樹にアイコンタクトで隠れるように指示する。 浩樹も黙って首を振り、晃汰と共に倉庫に身を隠す。 間一髪だったなと、ドアの隙間から楽屋を除く晃汰が冷や汗を拭った。
 

■筆者メッセージ
間隔はこれぐらい空くことがほとんどだと思いますが、不定期でまた書いていきます 感想などに関しては、ここでできる限り返信をしたいと思っております
Zodiac ( 2015/11/10(火) 19:24 )