AKBの執事兼スタッフ 2 Chapters











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第10章 沖縄
92 Storys 〜2×2〜
 ゴツめのシャワーで身体の汚れを落とし、濡れた髪をタオルだけで乾かして晃汰はリビングに戻った。ソファでは森保と宮脇が、仲良く肩を預けあって寝息を立てている。その光景に口元を緩めた晃汰は、キッチンに行きミネラルウォーターを流し込む。首にかけてあるタオルで口元を拭い、晃汰はリビングに戻ってTVをつけた。一人がけのソファに深く腰掛け、地方ならではの番組を一通り観て回る。ちょうどの頃にスポーツの話題となり、晃汰が愛する阪神タイガースの試合がダイジェストで流れる。ルーキーの近本、若き大砲候補の大山の適時打、守護神返り咲きの藤川の好リリーフで憎き読売巨人軍に勝った。その結果に無言ながらも大きくガッツポーズをする晃汰の背中に、カラスの行水の如く風呂上がりの竜恩寺が声をかける。

「阪神、調子いいじゃん」

「金満球団には死んでも負けたくないからな」

 晃汰は竜恩寺の好きな球団を知った上で、彼に皮肉をぶつけた。対する竜恩寺は表情を乱す事なく、ソファで寝る二人に眼をやった。

「どうすんのよ、コレ。ここで寝かす訳にもいかないでしょ」

 竜恩寺は肩を落とす。晃汰は苦笑いを浮かべる。どうしたもんかなと、二人して眼を合わせた。そして何も言わずに、晃汰が先に森保を抱き抱えた。

「永い夜になりそうだな」

 リビングを後にしようとする晃汰の背中に、竜恩寺が語りかけた。

「あぁ、これでストレスが吹っ飛んでいきそうだぜ」

 振り返らずに一度立ち止まり、晃汰は竜恩寺にそう返事をして2階の寝室へと森保と共に向かった。リビングに残った竜恩寺だったが、宮脇を抱き抱えようとはしなかった。

「起きろ、うそ寝はとっくにばれてるぞ」

 お姫様抱っこの代わりに、竜恩寺は宮脇にデコピンをプレゼントした。

「なんだぁ、バレてたんだ」

 パッチリと眼を開け、宮脇は竜恩寺に視線を合わせた。久しぶりのお互いの熱い眼差しに、少しの間二人に沈黙が訪れた。だがその静寂は、竜恩寺が宮脇の後頭部に手をやってのキスで終わった。

「今頃、アイツらはお楽しみちゅうかね」

 竜恩寺がニヤッと笑う。

「じゃあ、私たちも楽しもうよ」

 宮脇も悪戯な笑顔を浮かべると、竜恩寺の首に両手を回して自分に倒れ込ませた。久しぶりのお互いの鼓動(HeartBeat)が全身を震わす。お互いの息遣いが、世界のすべてに思える。それほどまでに二人は相手を欲していた。

「永い夜になりそうだな」

 竜恩寺の深い口づけから、宮脇は女の全てを手に入れる事となった。





 リビングで竜恩寺と宮脇が燃え上がっている頃、二階にある晃汰に割り当てられたベッドルームでは森保が気持ち良さそうに呼吸をしている。その傍らに座る晃汰は、そんな彼女の寝顔だけで幸福感に支配された。もう二人が同じ“48”として働く事はないだろう。それを分かっているから、二人はそれぞれのステージで輝き続けることを止めない。太陽と月のように、パートナーがいるから自分が輝くことができている。その位置付けが彼らにはできている。決して男と女の関係ではなく、より深く・・・。そんな事を晃汰は、観劇して感激をしたセーラームーンの世界観に擬えて、ロマンティックな物語を想像する。

「にしても、綺麗な脚だな」

 自信がプレゼントしたモコモコのルームウェアから伸びる森保の美脚に、晃汰の隠しきれないオスの部分が刺激される。指先だけで彼女の生脚を堪能するが、その先に進むように晃汰の細胞は叫ぶ。それでも、少し長いKISSを森保にして、部屋の電気を晃汰は消した。照明のスイッチからベッドまでの数歩をスマホの明かりで歩き、そのまま森保の隣に晃汰は滑り込む。久しぶりの彼女の匂いに、久しぶりの彼女の体温。晃汰は一瞬だけ森保背中から抱きしめると、寝ているはずの彼女に察せられぬよう、背中合わせとなって眼を閉じた。

 閉め忘れたカーテンの隙間から、南国の日射しが差し込む。先に眼を覚ましたのは森保だった。赤ん坊のような寝顔の彼氏が目の前で寝ていることに、森保はなんとも言えない充実感を味わう。ずっと漫画の中でしかないようなこのシチュエーションを、彼女は待ち望んでいた。本能が突き動かす形で、森保は晃汰に小鳥が啄むようなKISSをした。その拍子に、続いて晃汰も目覚める。

「ここが天国なら、相当良い場所だぜ」

 半開きの眼で目の前の女神を拝み、ハリウッド映画にでてきそうな台詞を晃汰は放つ。寝癖のついた髪は、森保をより妖艶に演出しているように晃汰には映った。

「じゃあ私はイヴで、あなたはアダムだね」

 森保は楽しそうに微笑んだ。

「神に背いて禁断の果実を口にする、か・・・。ファンに背いて禁断の恋愛をする俺たちみたいだな」

 晃汰は自嘲するが、森保は彼の腕の中である。世界が背いても離しはしない、吉川晃司の歌詞の通りだなと、晃汰は森保を包む腕に力をいれて彼女をより自身に密着させた。沖縄の朝は、太陽よりも熱いものとなった。

■筆者メッセージ
なんかHKTとか出すと、拍手がつかないんですよねぇ・・・笑、乃木坂路線にさっさと戻しますか
Zodiac ( 2019/10/29(火) 23:50 )