AKBの執事兼スタッフ


















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第6章 気ままに行こうか
29 storys 〜お世話役〜
 今日はW松井のお世話だ。 おっとりお姉ちゃんと、やんちゃな妹ってとこかな? 

 東京駅で待っていると、変装をした愛知のアイドルが手を振りながら歩いてきた。 2人とも、キャリーケースを引きずっている。 
  「晃汰〜 はい、これ。 お土産」
玲奈さんが笑顔で紙袋を手渡してきた。
  「ありがとうございます! あ、それと。 玲奈さん達がこっちにいる間は、僕が面倒見役ですから、よろしくです」
  「良かったじゃん、珠理奈! 新幹線の中でずっと会いたい会いたいって言ってたもんね」
  「違う! それは玲奈ちゃんじゃん!」
相変わらずの2人に笑いながら、車に案内した。 2つのキャリーケースをトランクに押し込み、第一の現場へとアクセルを踏んだ。  
  「2人だけの仕事って、久しぶりじゃないですか?」
ルームミラーに映った、後部座席の2人に訊いた。 
  「そうだね〜。 言われてみると、全然なかったね」
眼鏡をかけた姉さんが、玲奈さんの顔を覗き込んだ。 
  「AKBさんのお仕事が大体だったからね」
  「じゃあ、殆どはこっち(東京)にいたんですか?」
ミラーの玲奈さんと目を合わせる。
  「そうだね〜。 でも、ずっとスタジオとかだったから、全然東京を満喫できてないんだけどね」
いたずらっ子の様に笑う玲奈さんからは、願いのようなものが感じられた。 満喫できていない、裏を返せば何処かに行きたい。 僕はそう感じた。 確か、今日は午前中だけで2人とも仕事が終わるんじゃなかったかな・・・
  「今日、仕事終わった後って、予定とかありますか?」
  「予定は・・・ 珠理奈が誰かとイチャイチャしなければ買い物してホテルだけど」
よし、これで誘えるな。
  「仕事終わったら、ディズニーランド行きませんか? せっかく仕事が早く終わるんでしたら・・・」
  「行く行く! 行こうよ、珠理奈!!」
玲奈さんがここまで食いついてくるとは思わなかった。 おかげで、良い空気で現場に向かうことができた。 まぁ、ディズニー大好き人間の玲奈さんが断るとは到底考えられなかったし、少しでもリフレッシュしてほしいという考えもあってのことだ。

Zodiac ( 2013/08/20(火) 19:33 )