AKBの執事兼スタッフ


















小説トップ
第6章 気ままに行こうか
28 storys 〜密着取材〜
  「あなたの職業はなんですか?」
  「職業は、丸山晃汰です」
ハンドルを握りながら、前方を向きながら答えた。

 珍しく本部で仕事をしている。 外での仕事が多い僕にとって、慣れないことだ。 そんな時、秋元さんに呼ばれて小さな会議室に入った。 そこで秋元さんが示したのは、某番組の密着取材の依頼書だった。
  「今回は誰ですか? 密着となると、手厳しい気がするんですが・・・」
メンバーの密着だと思い込んでいる僕に、秋元さんは言った。
  「お前の密着だよ」
笑っている秋元さんの意図が理解できず、何秒かは放心状態だった。 だが、平常心を取り戻し、尋ねた。
  「僕ですか? 誰得ですか・・・」
  「そりゃ、ファンだろ。 アンチのネタにされるかもしれないけどな」
  「いや、僕は構いませんけど、グループに迷惑がかかるんじゃないんですか?」
  「そんなこと、前にも何回もあったよ」
こんな話を笑ってできるのだから、今回の依頼は受けて大丈夫だろうと感じた。
 そして、次の日にやってきたのは大谷という男性リポーターと、男性カメラマンの2人だ。 
  「台本は無しです。 素の貴方を撮りたいので・・・」
やけに腰が低い口調の大谷さんは、いきなり結論から話してきた。 この話し方、僕は嫌いじゃないぜ。
 その次の日から撮影が始まり、今に至る。
  「いつもこうやって、自分の運転で移動するんですか?」
  「そうですよ。 たまに、竜恩寺が助手席に乗ることもあるんですよ」
  「確か、竜恩寺君とは幼馴染と聞いたんですが・・・」
  「彼とは、幼い時からバカばっかやってましたよ」
苦笑を浮かべながらハンドルを操作する。 ドラテクも見られてるのではないかと、焦った。 
 現場に着いても、密着はまだまだ続く。
  「あれ、密着? まだ私もされてないのに!」
麻里子様が笑いながら近づいてきた。 カメラがあるので、少し距離を置いている。
  「メンバーとも仲が良いんですね?」
  「そうですね。 皆さん、初日から暖かく迎えていただいて嬉しかったですね」
照れながら、極力目を逸らしながら話した。 あがり症ではないが、こうした方が雰囲気が出るんじゃないかと思ったからだ。
 3日間の密着が終わった夜、大谷さんと食事に出かけた。
  「この放送によって、ファンも増えればアンチも増えると思うんです」
ナイフを動かしながらこちらの身上を気にする大谷さん。 よほど、こちらのことを気にかけてくれてるのだろう。
  「それはもう、充分承知してますよ。 敵が増えるのは慣れてるんで」
  「そうですか。 こちらも、あまり挑発しないような編集をできるだけします」
  「心強いです」
その後は、野球やグループの話で盛り上がった。 意外なことに、彼も野球をやっていたらしく、かなり深い話ができた。 野球不足だった僕にとって、良い夜を過ごせた。 挙句には、連絡先の交換にまで至った。

Zodiac ( 2013/08/20(火) 19:31 )