AKBの執事兼スタッフ


















小説トップ
第5章 in さいたまスーパーアリーナ
24 storys 〜総指揮のお仕事〜
  「おはよ〜 おはよ〜」
 午前5時。 アリーナに、僕の運転で京介とやってきた。 スタッフの打ち合わせがあるので、早めに家を出てきた。 
  「もう打ち合わせできます? OK」
スタッフが集まったことを確認し、ステージに向かった。 ステージ上には既に沢山のスタッフが集まっていた。 いや、同志と言うべき人間が集まっていた。
  「おはようございます。 まず、ここまで自分みたいな未熟な人間についてきて下さってありがとうございました。 みなさんの助けなしではここまで来ることはできませんでした。 今日、絶対に成功させたいと思います」
隣でこの一部始終を見ていた京介は、呆気にとられていた。 晃汰と幼い時から一緒にいるが、晃汰が誰かの為に頭を下げたことは見たことがなかった。 それに応えるスタッフ達の熱い拍手もあり、京介は涙を流しそうになっていた。

  「さて、最終調整と行きますか」
打ち合わせが終わると、間髪入れずにステージを下りて音響スペースに2人は向かった。 今回は僕のバンド時代から親交のある音響さんを連れてきた。 その辺の人選は任されていたから、誰を連れてこようか迷う心配がなかった。まさか、バンドで培った人脈がこんなところで使えるとは夢にも思ってなかった。
  「今日は湿度がちょうどいいから、イヤモ二さえ付けてれば大丈夫だよ」
僕が連れてきた永井さんは、適切なアドバイスをくれた。 年齢は40代後半だが、まだまだ若い心を燃やしている。 音楽に関しては、何かとお世話になっている。
 音響の最終調整が終わり、京介と僕は一旦外に出て珈琲を飲みに行った。 そろそろ、メンバーが近くのホテルからアリーナ入りする時間だ。 その前に一息入れる為、2人で珈琲を飲んでいる。
 店を出てアリーナに戻る途中、美味しそうなパン屋さんがあった。 ケータリングはすでに手配済みだったが、店主おススメと書かれたメロンパンをどうしても玲奈さんにプレゼントしたくなった。 店先で京介を待たせ、メロンパンを2つ買ってアリーナに戻った。 集結したメンバー達は、各々ストレッチをしたり音楽を聴いて落ち着いていたりしている。 僕は先ほど購入したメロンパンを片手にSKEの控室に向かった。 
 いろんな人間がいろんなことをしてる中、椅子に座って静かに音楽を聴いているSKEのかすみ草がいた。
  「玲奈さん・・・」
肩を叩くと、イヤホンを外して綺麗な顔を向けてきた。
  「あ、丸ちゃんおはよ〜」
笑顔で迎えてくれた玲奈さんに、メロンパンを差し出す。
  「え? これ私に!? ありがと〜」
普段の玲奈さんからは想像できない程の、テンションの上がりっぷりだ。 姉さんが心配して飛んできたぐらいだから。
  「玲奈さん、今日も頑張ってくださいね」
  「頑張れるよ〜 あ〜ん、幸せー!」
笑顔でメロンパンをほおばる玲奈さんを見届け、再度ステージに向かった。

Zodiac ( 2013/08/19(月) 19:22 )