AKBの執事兼スタッフ


















小説トップ
第3章 初大仕事
17 storys 〜グアム6日目 裏番組撮影〜
 PV撮影の裏番組として、メンバーの普段見られない素顔を撮影しようという企画が急きょ立ち上がった。 それも言いだしっぺが秋元さんなので、却下できるはずがない。 おかげで、なんの台本もないまま翌日の今日を迎えてしまった。 
  「カメラの台数には限りがあるから、順番に撮っていこう」
 チーフカメラマンの石上さんが本領を発揮する。 さすがは、伊達に専属カメラマンをやっているわけじゃなさそうだ。
  「カメラは全部で何台あるんですか?」
 メモをとりながら、ふと思ったことを石上さんに訊いた。  少し考え込んだ石上さんは、まっすぐこちらを向いて口を開いた。
  「大体30台ぐらいなんだけど、使えるカメラを全部合わせたら100台近くになるな」
 100台もあれば充分だろ。 1グループに25台の計算だな。
  「手分けして撮ってくれ。 できるだけ、構成を考えて撮ってくれ。 あぁ、それと・・・ KKコンビはグループに関係なく撮ってくれ」
 言葉の裏に隠された意図はすぐに察した。 人懐っこい中学生をいろんなところに派遣させることで、メンバーがよりフレンドリーに取材を受けてくれるようになってくれるからだろう。
  「わかりました。 こっちは大丈夫です」
  「よし。 じゃあ、撮影開始だ!」
 石上さんの言葉を機に、スタッフ一同は一斉に腰を浮かした。 

  「まずは、だれを最初に撮るか・・・」
 視界の景色すべてをスポルティングサングラスに通した2人は、最初の標的(ターゲット)を探していた。 メンバー自体はオフなのだが、事前に撮影のことを伝えてあったために、おしゃれをしているメンバーが多い。
  「あ、晃汰〜!」
 遠くからでもわかる長い脚をもった森保まどかは、同期の松岡菜摘とこっちに歩いてくる。
  「面倒な奴に見つかっちまったな・・・」
 隣で京介がボソッと呟く。
  「咲良でもいれば、少しは変わるんだけどな・・・」
 その思いも虚しく、同い年のまどかと1つ上のなつさんを撮影する。
  「晃汰に撮ってもらうなんて初めてだ」
 1つ先輩のなつさんとは、出国の日に仲良くなった。 おっとりとした口調に博多美人なルックスは、充分にファンの心をくすぐる。
  「まどかの横に並ぶと、なつさんも意外と背ぇ高いんですね。 160はありますよね?」
  「162だよ。 晃汰は何cm?」
  「175です。 スタッフとして入った当初は73だったんですが、伸びたんですよ」
 自慢を交えつつ、画面に2人の姿をとらえる。 相変わらず、見ていて飽きないのだ。
  「これぐらいでいいですかね。 じゃあ、お疲れさんでした」
 2人と別れた後も、京介とたくさんのメンバーを尋ねては撮影を繰り返した。

Zodiac ( 2013/08/18(日) 21:07 )