15 storys 〜グアム4日目 中休みはとんだ1日〜
グアム4日目 今日は中休みで、朝から死んだように寝ている2人。 朝からって言いましたが、今は午前7時です。
僕らの安眠時間を引き裂くチャイムが、部屋に鳴り響いた。 京介はどんなにゆすっても起きない。 どうせ狸寝入りだろ!? と思いながら、扉を開けた。
「おはよう! 遊びに行こうよ」
立っていたのは花音と咲良だ。 相変わらず元気だ。
「・・・うん。 ちょっと待ってて」
僕はなんでこの時にこんな馬鹿みたいな返答をした事を後から後悔した。
「何処行くんだよ・・・!?」
やっと目覚めてきた頭に手をやりながら、2人の後を追ってホテルを出た。朝日が眼鏡を通して眼に照りつける。 レンズのおかげで少しは楽だが、直視できない。
「着いたよ!」
2人が止まった先には、テニスコートがあった。 嫌な予感がする。
「少しやろうよ」
2人の手には既にラケットが握られていた。 どっちかと言うと、テニスは得意だ。 幼い頃から様々な教育を受けさせられた。 紳士的なスポーツもその中に含まれていた。 テニスもその1つだ。
花音とは小学生の時に何度かプレイしている。 アイツの事だ。 僕がどれだけ劣ったかをみたいのだろう。 だが、僕の身体能力を侮ってくれちゃ困りものだ。
「はやくやろうよ!」
花音はもうコートで体操を始めている。 その隣には素振りをする咲良。
「てか、何でよだれがいるの!?」
「よだれじゃないもん!!」
ラケットをこっちに向けた咲良は、頬を膨らませた。 受験生がこんな感情表現をしてよいのか と、心配になった。
「まぁ、掛かってきなよ」
軽くストレッチをして、コートにはいった。 2対1だが、負ける気がしない。
終わってみれば、子どもと大人の様な結末だった。 内容に関してはメチャクチャ。 挙句には、疲れてヘトヘトになった咲良をおぶってホテルに帰る始末だ。
「午後は買い物に行くから」
咲良を迎えに来たHKTメンがいる前で、堂々と宣言するバカノン。 それを聞いたHKTメンは自分たちも行けるものだと勘違い。
「じゃあさ、歩いていけるとこに行こうよ・・・」
騒ぎだした年下を鎮めるには、これしか方法が無かった。 花音にはウィンクで誤魔化し、HKTメンには集合場所と時間だけを言って、さっさとレストランに逃げ込んだ。 早く食べ終わる事だけに集中していて、後から隣りに座ってきた珠理姉さんに気付かなかった。
「そんなに慌ててどうしたの?」
いつもは男勝りな姉さんも、こうゆう時に女をだしてくる。 ちょっと違反だネ、姉さん。
姉さんには申し訳なかったが、急いでレストランを出て部屋に行った。 京介は僕より先にご飯を食べたらしく、ソファでくつろいでいた。
「大変そうだね・・・ 年下の相手は」
京介がこっちを見ないで言った。 どんな顔をしているのか、僕にはみないで分かった。 尚も京介は続ける。
「あの宮脇って子、注意した方がいいぜ・・・」
着替える僕の手が止まった。
「何故!?」
知らぬ振りをして、手を動かす。
「テニスであんだけ疲れてるんだ。 歩いて行ったりなんかしたら、お荷物になるぜ」
・・・やっぱり京介だな。 もっと重大な事かと思ってた。 安心したのか、ガッカリしたのか。
「じゃ、行ってくるよ」
サングラスをかけながらドアに向いて言った。
「あぁ。 俺はのんびりするぜ」
わざと僕に見えるように背伸びを、京介はした。
「じゃ、良い子いたらお前のアドレス教えとくからな」
「お、ちょい待・・・!」
京介の返事を最後まで聞かないうちにドアを閉めた。 そして、待ち合わせの場所に向かった。
てか、スタッフとメンバーがここまで仲良くしていいのだろうか・・・!?
つーか、休みでもなんでもないじゃんか!!