AKBの執事兼スタッフ - 第3章 初大仕事
11 storys 〜挨拶回り〜
 空港に到着したのは、同級生3人での話が盛り上がった頃だった。 仕方なくバスを降り、喋りながら施設内にある団体待機場所に向かった。 後ろから京介に助けを求められるまで、彼の存在を頭の中から消し去っていたのも事実だ。
  「たまんないぜ、まじで・・・」
 ヘロヘロになった京介を、2人に紹介した。 ヘロヘロになりすぎていたので、荷物用のカートで京介を運んだ。
  「京介、大丈夫?」
 朱里が心配そうに言う。 それに対して京介は大丈夫の一点張り。 どこが大丈夫なものなのか、呆れた。
 待機場所に着いて、そのでかさに驚いた。 余裕で運動会ができるくらいだ。 が、それを上回るメンバーの人数にもっと驚かされた。
  「僕、挨拶行くけど、京介行く?」
 カートで俯く京介を誘ったが、応答は返ってこない。 どうやら、1人で行くしかないようだと割り切った。
  「おはようございます、新しく担当させて頂きます。 執事兼スタッフの丸山晃汰です」
 最初はNMBに挨拶に行った。 SKEは、前回に行っているから大丈夫だ。
  「噂は聞いてるで。 丸ちゃんやろ!? 山本彩や、よろしくな!」
 威勢の良い身長の低いキャプテンが、右手を出してきた。 それに笑顔で応じ、早速質問してみた。
  「ギター、何持ってるんですか!?」
 明らかに驚いた顔をさや姉はした。 
  「ギター弾くん?」
 急に瞳を輝かせ、逆に訊いてきた。
  「はい。 バンドやってるんです」
  「えぇな〜。 青春やわ〜。 で、誰好きなん!?」
  「布袋寅泰。 知ってますか?」
  「知っとるよ。 あの変な柄のギターの人やろ?」
  「そうです。 僕、大ファンなんです」
  「へ〜。 で、アンタは何持ってんや?」
  「ストラト、テレキャス、レスポ・・・ 一通り持ってますよ」
  「へ〜、凄いやん。 で、セッティングは?」
  「イコライからのディストーション・・・」
 話し出すと長くなるさや姉、約10分間のギター講義は周囲のメンバーから強制終了させられた。 1人ずつに挨拶をしていったが、同級生のメンバーが2人もいた。 1人は矢倉楓子。 学年は1コ上だが、タメ口と名前で呼ぶ事を約束した。 もう1人は近藤里奈。 こっちも学年が上だが、ふうちゃんと同様に約束した。
 さて、次はHKTだ と思った矢先、遅れをとっていた京介が巻き返して合流した。 これで、同級生探しが楽になる。
 挨拶をして気がついた。 HKTって年下の集まりだってことに。
  「年上の人しかいなかったから、天国みたいです・・・」
 京介がポツリと漏らした。 が、その言葉に共感できた。
 そんな中、年齢が近いからか、親近感を持ったメンバーが沢山言い寄って来てくれた。
 まず、同級生の森保まどか。 スタイルやルックスが凄い。 さぞ、学校ではもてるんだろうなと、勝手に妄想した。 
 次も同級生の宮脇咲良。 甘いマスクで言動が子供っぽい。 本当にコイツと同級生なのか!? ってぐらいフワフワしている。
 あとは、1コ上の児玉遥。 渾名を こまはる と勝手に命名した。
 トータルで考えると、HKTと接していた時間が待機場所では1番多かったに違いない。 と、飛行機に向かう途中と機内で考えていた。
 機内での出来事については、特に話す事もないだろう。 これといって、面白そうな出来事は何一つとして勃発しなかった。

Zodiac ( 2013/08/18(日) 20:39 )