AKBの執事兼スタッフ


















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第2章 本当は学生
6 storys 〜学生から社会人へ変身〜
 今日は1日学校なのです。 何故って? 仕事が無いからです・・・
  「白いのが今日はいるぜ」
 学校で最初に話しかけてきたのは、吉沢周斗だ。 野球部で副キャプテン。 お調子者だ。
  「どうだよ? 初仕事は」
  「まあ、普通かな・・・」
  「普通って、分かんねぇよ」
  「・・・なんか、安心するネ」
  「・・・? お前、何か違うぞ」
  「違くて良いよ。 で、俺の跡継ぎは決まったか?」
  「まだだな。 いろんな奴が変わってるけど・・・」
 俺は仕事が決まった次の日に野球部への退部届を出した。 理由は、普段部活に出れない俺を試合で使いたがってる監督さんがいる。 けど、練習に参加しない俺が試合に出れるのは違うと思い、届を出した。 
  「んで、どれだけメンバーと話したんだ?」
  「ん〜・・・ あんまし話してないネ」
  「まあ、これからか・・・ お、チャイム鳴るぜ」
 そう言って、周斗は自分の席に戻った。 その数秒後、チャイムが鳴って担任の竹下先生が教室に入ってきた。 ちなみに、竹下先生は数学教師です。
  「おはよう。 今日の連絡は・・・」
 ダルい1日が始まった。 1時限目は国語。 2時限目は社会。 そして3時限目が始まった。 英語で、教師は小野先生だ。 
 英語は得意でもなく苦手でも無い。 ただ、やる気がないのだ。 すると、教室の前の扉が開き、副担任の先生が小野先生になにやら耳打ちした。 そして、俺の事をちら見してくる。 なにも悪い事はしてないんだけどな・・・ と思いながら、2人の動向を見張った。 そして、小野先生が俺を真っすぐ見て口を開いた。
  「丸、お客さんが来てるって。 会議室に行って」
  「あ、分かりました・・・」
 ざわつく教室を出て、制服のネクタイを整えながら会議室に向かった。 
 会議室に着くと、ノックをして入った。 そこには、よく知っているプロデューサーと、初日に少し喋った大島優子がいた。
  「どうしたんですか?」
  「近くまで来たから寄ったんだ」
  「・・・絶対嘘ですよネ?」
  「・・・実はな、学校を早退して仕事に来てくれないか? 人出が足りなくてな・・・」
  「なるほど。 その説得役に優子さんが来たと・・・」
  「そうゆうこと。 来てくれるよね?」
  「1回家に帰らなきゃいけないですが大丈夫です。 上手く説明してくれれば」
  「ありがとう。 じゃあ、担任には言っておくよ」
  「じゃ、荷物取りに教室戻りますネ」
 俺はそう言って会議室を出た。 が、背後に気配を感じていた。 その正体は分かっている。
  「普通の中学ですよ。 何もないですよ・・・」
  「いいじゃん、ついてきたって」
 ため息をつきながら振り返った。 優子さんが無邪気に笑っている。
  「懐かしいな〜 中学」
  「ここの出身じゃないですよネ?」
  「雰囲気が懐かしいの!」
 そうこうしているうちに、教室に着いた。
  「待ってください。 荷物とってきますから」
 右手の平を押しだして強調した。 そして、扉を開いた。
  「先生、早退します・・・」
 相手の眼を見ないで言いながら、自分の机で帰り支度を始める。
  「どうしたの? 体調でも悪いの?」
  「いえ、急に仕事が入ったもんですから」
 問いに、意表を突かれた先生は、分かった の一言しか言わなかった。 それと同時に授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。 俺は礼をしないで教室を出た。 ここで、嫌な予感がした。
  「遅いよ〜」
  「すいません。 さ、行きますか」
 優子さんの顔色を窺ったふりをして、歩き出した。 廊下には、悲鳴と歓声が飛んだ。 その大半が2人に向けられたものだった。
  「あれ、大島優子じゃない!?」
  「なんで丸といるんだよ!?」
 遠くから憶測を叫ぶ連中、サインを求める連中が沢山いて上手く歩けない。 そこで、
  「優子さん。 これにサイン書いて・・・」
 俺は壁に飾ってあったクソ喰らえなポスターを破いて、それを渡した。 そして、サインが書かれたポスターを進行方向とは逆向きに投げた。
  「アディオス!」
 俺はそう言って、優子さんの手を握って走った。 連中はポスターに群がり、何人かは後を追ったが、やはりサイン入りポスターを諦められずに引き返した。 
 急いで会議室に戻り、騒動が落ち着くまで3人で待機した。

Zodiac ( 2013/08/17(土) 21:08 )