AKBの執事兼スタッフ


















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第15章 合宿
91 storys 〜合宿7日目 4 癒し〜
 京介とお互いに良い景色をバックに写真を撮り合う。 京介はツイッターはやってはいないが、僕と同じようにグーグルプラスのアカウントなら持っている。 僕よりも更新頻度は低いものの、文才に富んだワードとプロ顔負けの写真が売りだ。 一方の僕は、更新頻度は高いが中身は薄っぺらだ。 せいぜい写真を2,3枚載せて、4,5行の文章を書いてお終いだ。

  「お? その角度かっこいいじゃん!」

  「いや、俺はこっちの方がいいんだけど」

いい年をした男たちが、無邪気にスマホの画面を見ながら構図を考える。 全力で動けない身体に対し、歯がゆい思いをしている。

 そんな2人の男子の様子を、草木の影から微笑みながら見ている2人のメンバーがいた。

  「やっぱり凄いね。 あの2人」

  「なんて言ったって、私の彼氏だからね」

  「・・・片思いでしょ?」

  「まぁね。 でも、いつかは・・・」

  「その先は今度聞くよ」

まどかの話を照れ笑いを浮かべながら遮った咲良は、まどかの手を引っ張って執事たちの方に駆け寄った。

  「なんでいるの!?」

あまりに2人が急に登場してきたので、驚きあまってスマホを危うく落としそうになってしまった。 丁寧にポケットにしまい、逆のポケットに左手を突っ込んで2人に向き直った。 

  「まどかがね、晃汰と一緒にいたいんだって。 ね? まあちゃん」

  「え? え!?」

 いきなり咲良のムチャ振りにまどかは素直に焦った。 だが目の前の晃汰の顔を見たら、自然とそんな気持ちになってきた。

  「別に、私はいいんだけどさ・・・」

自分の気持ちを押し殺して発した言葉は、少々晃汰の思惑通りになってしまった。

  「あ、そ。 ならいいよ」

  「嘘です! 2人っきりで喋りたいです!!」

今だけは、まどかのSっ気は晃汰には勝てない。 晃汰は余裕の表情を覗かせ、京介と咲良に意味ありげにウィンクした。 察した2人は揃ってエレベーターホールに向かった。 その背中を見送っていた晃汰よりも先に、まどかは防護柵に寄りかかっていた。

 告白の時に晃汰がいた立ち位置にまどかが立ち、晃汰はまどかが座って告白したベンチに腰を落とした。 立場が逆転したところで、今回もまどかが先に会話の糸口を作った。

  「怪我は大丈夫なの? 京介の話だと、まだ全快は難しいって言ってたよ・・・」

悲しげに眉を顰めながら、まどかは訊いてくる。 夜風になびくまどかの髪が、幻想的な雰囲気を醸し出している。

  「骨が何本も折れてるから、まだまだ時間はかかるよ。 けど、牛乳飲んでささっと治すよ。 好きな人を早く力いっぱい抱きしめたいからね」

両手を組んで頭の後ろに回しながら、右足を左足の上にのせる。 正面に立つまどかからはあえて顔をずらし、星空を見上げる。

  「もしも咲良とあおたんが私だったら、どうしてた?」

天体観測を即座に中止した晃汰は、悪戯な笑顔を浮かべながら訊いてくるまどかを見つめた。 ゆっくりとベンチから立ち上がった怪我人は、ゆっくりとまどかに歩み寄りながら口を開いた。

  「そのまま抱き合って死んでたかもね。 こんな風に・・・!」

身体を低くして右腕をまどかの膝裏に回した晃汰は、まどかの足をすくうように持ち上げた。 左腕にはまどかの背中がしっかりとホールドされている。 いきなりのお姫様抱っこに照れたまどかは、真っ赤になった顔を前髪で隠した。

  「おい。 なんで隠すんだよ?」

  「だって、恥ずかしいから・・・」

  「それじゃキスできないだろ。 早くどけてくれよ」

まどかの前髪が左右に分けられ、火照った顔が露わになる。 意を決して目を瞑ったまどかを見て、晃汰は静かに唇を重ねた。



■筆者メッセージ
途中から3人称になってますね・・・汗

矛盾だらけですが、温かく読んでいただければ嬉しいです!
Zodiac ( 2014/05/07(水) 21:34 )