AKBの執事兼スタッフ


















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第15章 合宿
85 storys 〜合宿5日目 5 つかの間の休息〜
  「明後日の夕方だけは、ホテルでやる打ち上げに出たいんです。 打ち上げだけ参加したらまた戻ってきますから・・・」

 病室で数値やらの検査を受けながら、主治医の先生に自分の意思を伝えた。 あまり年のいっていない若い男の先生だったから、凄い話しやすかった。 

  「わかった。 わかったけど、とりあえず今日は寝てろ。 仲間の前じゃあんなに無理できたんだろうけど、それも長くはできないぞ」

僕の腕の関節をゆっくり回しながら、先生は淡々と言った。 意を決したかのように、力を込めて関節を回した。

  「いって!! 痛いっすよ、先生!」

  「うん、まぁこんなもんか」

解放された左腕を自分で回しながら、感覚を確かめる。 折れてはいないようだ。

  「立ってるのがやっとなのは、自分自身が一番わかってるんだろ? 打ち上げに行きたいなら、大人しく今日は寝てろ。 明日と明後日の午前中はリハビリだ」

そう言って先生は病室を出て行った。 確かに4人の前だけはやせ我慢をして動き回っていたが、本当は凄いシンドイのだ。 思っていた以上に熊との戦闘でダメージを喰らっていたらしく、疲労感がいまでも抜けない。

 ふと、枕元で何かが振動しているのに気が付いた。 もう驚く事には慣れていたので、平常心で手で探った。 そこには、僕のiphoneがあった。 たぶん、咲良たちが置いて行ってくれたのだと察し、手に取った。 LINEの通知数が半端なく、読み込むだけで相当な時間を要した。 まだ他の姉妹グループにはこの事故のことは漏れてないらしく、玲奈さんやさや姉さん、本店の奈々やこじかもからはいつもと変わらない内容が個人チャットで送られてきていた。 こちらのiphoneの不具合と嘘をつき、丁寧に返信した。 この嘘がバレるのも時間の問題だろう。 その中で、やたらと長い音声メッセージを送ってきている奴がいた。 それは、ずっとこの携帯を持っていた咲良と碧唯からだった。 そのメッセージを聴き終えた時、僕はとめどなく溢れる涙を拭くのに必死だった。 内容は、僕に対する感謝の気持ちと、恐らく僕が死ぬことを想定したような内容だった。 命を懸けて守ったメンバーからこんな言葉を貰えることは、執事冥利に尽きる。 

 号泣して疲れたのか、一気に睡魔が襲ってきた。 いつもなら身体を動かしたりしてな向けをやり過ごすのだが、今はその必要はない。 好きなだけ寝れることに少しだけ満足して、静かに眼を閉じた。

■筆者メッセージ
まどかと付き合わせる直前、咲良とまどか、そっちと付き合わせようか悩んでたぐらいこのコンビが好きです(笑)
Zodiac ( 2014/03/27(木) 22:30 )