AKBの執事兼スタッフ


















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第15章 合宿
80 storys 〜合宿4日目 6 死闘〜
 いきなりクマが攻撃を仕掛けてきたのは、予想外だった。 おかげでヘッドセットが見るも無残な姿にされてしまった。 もうちょっと反応が遅ければ、ヘッドセットどころではなかっただろう。

  「ちっとは楽しめそうじゃねかよ」

かすり傷を舐めて、目の前のクマを睨み付けた。 ここで、俺は策に出ることにした。

  「咲良、碧唯。 碧唯に貸したジャケットにスタングレネードとiphone、非常食が入ってるんだ。 グレネードだけを俺に残して、お前たちはiphoneのGPSを見て逃げろ」

  「嫌だ、嫌だよ!!」

背後の2人は泣きながら拒否した。 俺だって泣きたかったけど、泣いたら前が見えない。

  「ここで3人仲良く死ねないだろ。 俺も後から追っかけるから」

やっと理解できたのか決心がついたのか、2つのスタングレネードを俺の足元に置いて走り去った。 それを待っていたのか、一気に熊は襲い掛かってきた。 真横にローリングしながら、SOCOMの引き金を続けさまに絞った。 絞った回数の弾はすべてクマにヒットしたが、クマの身体は肉厚で針が通らない。 せいぜい、ある程度の痛みを加えることしかできなさそうだ。

  「麻酔も効かねぇのかよ。 可愛くねぇな」

麻酔銃をホルスターに収め、右手にサバイバルナイフを構えた。 そして、熊に向かって走った。

 メンバー達やスタッフ、秋元さん達はホテルの中に避難した。 さっきよりも大粒の雨が叩きつける窓を、ずっと眺めているメンバーがいた。

  「咲良とあおたんは大丈夫だって、戸賀崎さんが言ってたよ。 晃汰も絶対大丈夫だから、座っとこうよ。 まどか・・・」

わかはること若田部遥が、ずっと窓の外を気にしているまどかを気遣って声をかけたのだ。 数分間、わかはるはまどかと立っていた。 他のメンバーはショックで立ち上がれずにいた。 最後は指原支配人がまどかを説得し、何時間ぶりにまどかは腰を椅子に下した。 

 その頃、特殊部隊と合流した京介は上空のヘリから3人を捜していた。 他の発生した事件で、こちらに派遣されたのはヘリ2機に部隊員10人だけだった。 それでもいないよりかはマシと、京介は電話越しに頭を下げていたのだった。

  「GPS信号をキャッチ!」

1人の隊員がそう言った時、京介は真っ先にその液晶を覗きこんだ。 確かに、円形のレーダー線の中に赤い点が1つ存在する。

  「そこに向かってくれ! 晃汰とメンバー2人用の急所の準備をしてくれ。 他のヘリもそこに向かわせろ!!」

別々に動いていたヘリ2機は、GPS信号が発せられている地点に急行した。

  「なかなかやるじゃねぇか・・・ 面白くなってきやがったぜ」

 どんなに傷を負わせても、熊の動きが鈍くなることはなかった。 それと比例し、俺の傷が多く、深くなってくる。 雨と血が混ざった液体が、身体中を濡らす。 

  「行くぞ!!」

鋭利な爪をかわしながら、熊の腹部にナイフを突き刺す。 ここで初めて熊が唸り声をあげた。 それを聞いた俺は攻撃の手を休めることなく、ナイフを引き抜いて違う箇所に突き刺した。 致命傷とはいかなっかたが、かなりのダメージを与えた感触があった。 そのお返しにと、大きくて深い傷を左肩にプレゼントされた。 振りつける雨が血を洗い流してくれるが、止血作用はない。 

  「血が足りない・・・ 吉川晃司がやった鵜堂刃衛かよ」

1人で苦笑いし、傷の応急処置を済ませる。 処置と言っても、切り裂いた服を巻きつけるだけの簡単なものだ。 泥で汚れた服の切れ端がみるみる紅く染まっていくのを無視し、熊に突っ込む。 

■筆者メッセージ
初めてこんなサバイバルなシーンを書きます(笑)
中二病みたいですね・・・(汗)
Zodiac ( 2014/03/24(月) 13:33 )