AKBの執事兼スタッフ


















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第9章 やっとスタッフに戻れました
46 storys 〜ksgk〜
  「なるほどねぇ・・・ それが妥当な答えだと思うし、これからのお前達の為でもあると思うんだよ」
  「はい。 その事を考えて、この答えを出しました」

 花音と泣きながら決断をした次の日、僕は秋元さんと戸賀崎さんに報告をした。 2人とも了承してくれたし、僕の活動スタンスについても理解してくれた。 芸能界デビューには全く興味が無い旨を伝え、ある程度の露出は我慢すると話した。 だが、表に出ない仕事。 スタッフ業や作曲、作詞業はこれからも続けさせてくれと頭を下げた。
  「じゃあ早速、今日は幕張で握手会をやっているんだが・・・ 行ってくれ」
秋元さんの言葉に笑顔で返し、車に向かった。 京介は先に行っていると戸賀崎さんに付け加えられたので、真っ直ぐ幕張に向かった。

  「遅ぇよ。 皆お前のこと待ってんだよ」
 地下の駐車場まで出迎えに来た京介が、催促する。
  「ちょっと用があってな」
荷物を助手席から取り出し、ロックをして車を離れた。 ヒンヤリとした階段を上がり、目の前に広がったのはメンバー達の休憩スペースだった。 1人ひとりが各々好きなことをしており、音楽を聴いたりブログを更新したりしている。 そのうちの1人に声を掛けられた。 声で誰だか分かっていたので、釣られないように用心して振り向いた。
  「あ、わるきーさん」
  「誰がわるきーやねん!」
そこには、いつもニコニコ顔のみるきーさんが立っていた。 今日は珍しく眼鏡姿で、いつも以上にドキッとしてしまった。
  「最近、NMBの方に全然遊びに来てくれへんやん。 皆、丸ちゃんの事気にしてるんやで」
  「いや〜、僕もなかなか忙しくて、NMBさんの方にも行けなかったんですよ・・・」
  「さやかちゃんが怒っとったで。 晃汰の奴、全然顔ださへんなぁって」
突然身震いがした。 ガチで怒ったさや姉を想像すると、背筋が凍るほどだった。 
  「みるきーさん。 どれくらい怒ってました?」
NMBの休憩スペースに向かう途中、恐るおそるみるきーさんに尋ねてみた。 
  「そんな怒ってもなかったで。 おふざけな感じだったよ」
ホッと胸を撫で下ろした。 おふざけなのは、みるきーさんだけだったようだ。 これで安心してギターの話を繰り広げられる。
  
  「最近な、新しいギター買ったんやで。 写真も、ほら」
  「PRSじゃないですか!? カッコイイ〜」
  「せやろ? 今度弾かせたるわ」
 最初は少し怒り気味だったさや姉さんだが、ギターの話を持ち出した途端に笑みがこぼれた。 そこに、ksgkこと薮下柊が乗り込んできた。 こいつと同じ年の美桜と比べると、性格は真逆だった。
  「晃汰! ギター教えてよ!!」
  「だから、年上を呼び捨てで呼ぶなっての。 僕はいいけど、ほかの人でやったら駄目だからな・・・」
  「わかったから、早くギター教えてよ!」
  「今!? 今日、何も持ってきてないよ」
  「じゃあ、いつ教えてくれんの!?」
このパターンになってしまったら、次はあの言葉しかないだろう。
  「・・・今でしょ!」
言ってしまった・・・ 柊は満面の笑みだ。
  「あ、もうそろ始まるから、休憩時間になるまでに準備しといてね!」
同級生に対する口のききかたを僕にして、ダッシュでどこかに消えていった。 ksgkの世話は、予想以上に大変だ・・・
  「晃汰、ドンマイ・・・ 私も一緒に教えるから」
さや姉さんがそっとフォローしてくれた。 おかげで、少し気が楽になった。

Zodiac ( 2013/12/01(日) 21:26 )