AKBの執事兼スタッフ - 第1章 初めまして
4 storys 〜古執事×子執事〜
 2人との面談を終えて、外に出た時は暗くなっていた。 時計を確認して、ざっと1時間弱は話していたのだと実感した。
  「執事・・・さん・・・?」
 背後からやけに小さい声が聞こえてきた。 振り返ると、立っていたのは渡辺麻友さんだった。
  「あ、まゆゆさん。 どうしましたか?」
  「うん、ゆきりん待ってるの。 執事さん、何してるの?」
  「ちょっと頭を整理してます。 物を詰め込み過ぎたみたいで・・・」
  「そうなんだ。 ・・・名前、なんて呼んだら良いのかな?」
 いきなりの質問にも、たじろがないのが僕だ。 が、少し悩んだ。
  「学校では 丸 って呼ばれてますけど、こっちだと何が良いですかネ?」
  「う〜ん、何が良いかなぁ〜・・・」
 そこに、まゆゆさんが待っていたゆきりんさんが合流し、3人で考える事になった。
  「丸ちゃんで良いんじゃない? 皆、親しみやすいと思うよ・・・」
 眼を細めながら、軟らかな口調でゆきりんさんが提案した。
  「あ、いいね! じゃ、丸君でも良いんじゃない?」
 無邪気な笑顔で、さらにまゆゆさんが追加項目を提示した。
  「良いですネ。 気に入りました」
 学校と変わらないな・・・ と思いながらも、笑顔で対応した。
  「あ、そうだ。 アドレス教えとくよ。 何かと都合良いでしょ」
 こちらの都合も聞かないまま、早くもゆきりんさんは赤外線送信の準備をし始めている。 
  「良いんですか? アドレス交換して・・・」
  「そんな規則無いもん。 聞いた事もないし」
 ゆきりんさんの言葉を信用した僕は、ゆきりんさんとまゆゆさん2人のアドレスを受け取り、僕のアドレスも送信した。
  「じゃあ家着いたらメールするね! じゃね〜」
 そう言い残すと、2人はマネージャーの運転する車で帰って行った。 いつかは、僕もああやって送迎をするのだろうか と考えていた。
 僕は、家に帰る事にした。 ここで説明しよう。 先程の脳内文で疑問に思った方もいると思います。 何故僕が送迎について考えたのか。 そう、僕は執事資格と同時に運転免許も取得しているのです。 四輪と二輪、MTもATどっちでも運転できます。 
 地下駐車場に停めてある愛車は、父に買って貰いました。 その愛車に乗り、都内にある自宅へと帰った。
  「ただいま・・・」
  「お帰りなさいませ、おぼっちゃま」
 自慢する訳じゃないんですが、僕の実家は東京D約6個分。 敷地内には専用のプールやゲームセンター・バッティングセンターやライブスタジオなど、諸々がある。 そしてこの人。 僕が執事の中で最も憧れている吉田さん。 50代前半だが、衰えない肉体と体力の持ち主で、スタッフ(ここで言う丸山家の使用人)からの信頼も厚い。 おまけに、僕が1番憧れる吉川晃司の様な白髪を持っている。
  「いかがでしたか? 初仕事は?」
  「メンバーさんには自己紹介できたし、よかったと思うヨ。 でも、グループの裏を知っちまったって感じ・・・」
  「そうでしたか。 お夕食はどうなさいますか?」
  「もちろん頂く。 今日は牛を中心にしてくれ。 ちょいと疲れた」
  「承知しました。 出来上がりましたら御呼び致します」
  「頼む・・・」
 俺は自分の部屋に続く長い廊下を歩いた。 さて、もうお気づきの人が大半だと思いますが、家と仕事では性格が違います。 まあ、おぼっちゃまが執事なんて、格差が激しいですからネ。

Zodiac ( 2013/08/17(土) 15:34 )