AKBの執事兼スタッフ


















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第1章 初めまして
1 storys 〜INTRODUCTION〜
都内のスタジオ前に、1人の男が立っている。 彼こそが、最年少執事の肩書を引っ提げ、鳴り物入りで48Gのスタッフにならんとする丸山晃汰である。
 「ここが例のスタジオか・・・ バンドの練習じゃ来た事あるけどネ・・・」
 独り言を言いながら、彼は中に入って行った。 そして、レコーディングブースへと繋がる重い扉を開いた。
 「待ってたぞ、晃汰・・・」
 一番奥のソファにもたれていた中年の男が、歓迎の意を表しながら腰を浮かした。
 「お久しぶりです。 今日から、宜しくお願いします」
 晃汰は差し出された右手に応じ、自信で漲った眼を男に向けていた。
 「ちょっと来てくれ。 メンバーに紹介する」
 そう言って男は、閉まりかけていた扉を再度開いて廊下を歩いた。 そして、扉の隙間からあかりが漏れている場所で止まった。 
 「第一印象が大事だぞ・・・」
 言い終わらないうちに、扉を開いた。 中には、数え切れない程のメンバーが汗を拭っていた
 「みんな、ちょっといいか?」
 男が言った瞬間、全部の視線が集中した。 だが彼は、微動だにしなかった。
 「前から言っていた執事兼スタッフが、今日から本格的に仕事に就く。
ちなみに、俺の友達の孫だ」
 「初めまして。 今日からお世話になります、丸山晃汰です」
 深々と頭を下げながら自己紹介をした。
 「丸山君ね。 宜しく。 背ぇ高いね。 何歳?」
 複数の質問をぶつけてきたのは、好奇心旺盛な大島優子だった。
 「今、15歳です。 身長は173cmです」
 「でかいね! 麻里子よりでかいんじゃない?」
 大きな声で驚いた。 彼がメンバーに対する第一印象は、親しみやすいに近い感情だった。
 「じゃ、後は任せるぞ・・・」
 そう言って、男は他のスタッフとなにやら話しながらその場から去った。
 「執事って、メイ執みたいなことするんですか?」
 眼を輝かせながら質問したのは、2次元担当の渡辺麻友だ。
 「はい。 僕も実習であれに近い環境で生活したことがあります」
 「そうなんだ? じゃあ、話が合うかもしれないですね!」
 「あ、僕、年下なんで、タメ口で構いませんよ」
 すると、彼がこの業界に入る前から気になっていたメンバーが、近づいて質問した。
 「15歳って、今、中3?」
 「はい。 世間では受験生ですネ」
 「いいの? 勉強しなくて・・・」
 「僕の学校は中高一貫ですから、大丈夫なんです」
 「ふ〜ん。 まぁ、よろしくね、後輩」
 「はい、珠理奈先輩!」
 質問者は、生まれ年は同じだが学年が1つ上の松井珠理奈だった。


Zodiac ( 2013/08/16(金) 20:57 )