不器用な僕からあなたへ
第一章
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私は家に帰り、ベッドに横たわり大きくため息をついた。

大学からの帰り道、私が思い寄せる彼に自分の気持ちを伝えた。でも彼には私がからかっていると勘違いされ、彼に私の思いは届くことはなかった。

彼とは、2回生の秋、ちょうど1年ほど前に出会った。最初のゼミの授業で自己紹介をする彼を見て、ちょっと不愛想な人だなくらいの印象しかなかった。

ゼミという空間で彼と一緒に過ごしていると、印象が少し変わった。ただちょっと感情が表情に出にくいだけで、不愛想なんかじゃなかった。

彼と仲の良い和樹君にからかわれる彼の反応は可愛らし、彼と話していると彼が優しい人であることが伝わってきた。

年が明け、ゼミでは新年会と称した飲み会が行われた。そこには、1つ学年が上の先輩方もいた。飲み会終盤で、和樹君の暴露によって彼が七瀬先輩に思いを寄せていることを知った。

私は何故か少しショックを受けたのを覚えている。今思えばこの頃から私は彼のことを意識し始めていたのかもしれない。

季節は過ぎ、桜が散った頃、彼に恋人ができたことを知った。

バイト先の年下の女の子らしい。写真を彼に見せてもらったが、顔が小さくて、とても美人だった。

でも、彼の恋人が美人だったことなんてどうでもよかった。それよりも恋人と幸せそうに映っていた彼の姿を見ると胸が締め付けられた。

彼の横にいるのがなぜ私ではないのだろうか。私はこの時気が付いた。彼のことが好きだという事を。

そして今日、彼が恋人との関係が上手くいってないことをきいた。それを聞いた私は少し嬉しかった。いつから私はこんな嫌な女になったのだろう。彼が恋人と別れれば、私が彼と付き合えるかもしれないと思った。

でもそんな気持ちは、すぐに消えた。七瀬先輩に頭を撫でられる彼の姿を見てしまったからだ。

彼はまだ七瀬先輩に思いを寄せている。仮に彼が恋人と別れたとしても、私が彼と付き合える可能性は低いのだろう。

七瀬先輩は、女の私から見ても、可愛らしくて守ってあげたくなる。七瀬先輩に私なんかが勝てるわけがない。

諦めるしかないというのは分かっている。それでも、諦めることはできない。私は心の中で誓う。

もし彼が恋人と別れた時、もう1度彼に私の気持ちを伝えると





■筆者メッセージ
はじめまして、『不器用な僕からあなたへ』を読んでいただきありがとうございます。
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更新頻度はそこまで高くないですが、皆様に楽しんでいただけると幸いです。
R.S. ( 2019/06/19(水) 22:22 )