6章
10
「結果発表〜!いぇーい!」

恐ろしくテンションが高い斉藤と、正反対にテンションの低い面々。
テストが終わり、答案が全て返却された本日、放課後うちのクラスにあの面々が集められた。

「と、いうわけで皆んな誰が1番でも文句無しだからねぇ〜」

「はーい」

やるだけやった。そんな表情をしているのだが、残念ながらまだ1学期の中間テスト。この調子だとテストが来る度に大変な事になりそうだ。

「じゃあもう1位だけ言っちゃうね?」

手を合わせる者もいれば、ただひたすら斉藤を見ている者、その様子は様々だ。
何だか俺まで緊張してくる。

「1位は……」





週末。
テストも終え、何か解放感に満ちている。
梅雨に入ってジメジメとした日が多かったが今日は晴れ。
雲1つ無い青空が広がっている。
少し蒸し暑いと感じるようになって来た。
夏はもうすぐそこだ。

「1位おめでとう。俺なりに楽しめる場所探しといた。行こう」

今日は、1位を取ったご褒美としてデートがしたいと言われた為、駅前で待ち合わせをした。
テストの疲れを癒したいという要望を叶えよう。
待ち合わせ場所にやって来た彼女の手を取り歩き出す。

「うん。どこ連れて行ってくれるん?」

七瀬は俺の手を握り返し、隣に並んで歩いている。
そう。1位になったのは七瀬だ。
1位と最下位の点差がたった15点しか無いという接戦。
2位に関しては1点差だった。
そして誰も赤点を取る事無く無事にテストを終えたのである。
当初の約束通り、こんな僅差でも誰も文句は言わず、七瀬に拍手をしていた。
何だか微笑ましい光景だった。


「内緒」

「……ケチやな」

「よく言われる」

手を繋いでいる七瀬が笑う。
俺は七瀬の柔らかい笑顔が好きだ。
つられて笑ってしまう。
七瀬を癒すデートのはずが、俺が癒されている。

何本か電車を乗り継ぎ、目的地へ到着。

「ここって」

「うん。夢の国」




イヴ ( 2018/07/12(木) 22:05 )