4章
13
スマホの通知音で目がさめる。
画面を見ると志田からのメッセージ。
時刻は22時。

『私やっぱり裕樹が好き。!』

句点の後にビックリマークが付いている。
何となく志田らいしと思った。
ありがとうと返信すると、すぐに返事が返ってくる。

『今度の休みデートしよ?』

俺は了解と返信し、スマホの画面を閉じる。
腹が減った。
下に降り何か食料を探すが何も無い。
何か作る気にもならず、諦めて部屋に戻る。
今日はさっさと寝てしまおう。
部屋の扉を開けると、いる。
デジャヴだ。
俺のベットに寝転び漫画を読む理佐。
目が合うも漫画を読み続ける理佐。
ここはあんたの部屋では無い。
窓の鍵を閉めておけばいいものを、それをしない俺がいるのも事実なのだが。

「そんなにその漫画読みたいなら全巻貸すけど?」

寝転ぶ理佐の隣に腰を下ろす。

「ここで読めるからいい」

「はいはい」

パタンと漫画を閉じ、起き上がる理佐。
グッと俺に近付きクンクンと匂いを嗅いでる。

「愛佳の匂いがする」

こいつの嗅覚は犬か何かなのか。

「……わかるもんなの?」

「親友だし。この匂い、愛佳がお気に入りの香水の匂いもする」

確かに志田と密着はしたが、匂いでバレる程長時間くっ付いていただろうか。
本当に女とは恐ろしい生き物だ。

「唇、リップ付いてる」

「えっ」

慌てて唇を拭こうとするも、その腕を抑えられる。

「取ってあげる」

理佐の唇が重なり、俺の唇に吸い付く。
上唇、下唇を舌でなぞるように動かす理佐。まさにリップを舐め取るかのように。
そのまま少し空いた唇の隙間から理佐の舌が入ってくる。

「んっ、どうしたんだよ理佐」

このままではまずいと、俺は1度理佐を引き離す。

「妬いちゃった。私も……裕樹が好きだから」

また俺の唇は理佐に奪われ、再び舌が入ってくる。
こんなにも積極的な理佐に俺はただ驚くだけだった。

「んっ、はぁっ……」

低い声で、それでいて色気を孕んだ声を上げる理佐。
今の理佐は妖艶だ。
名残惜しそうに唇を離し、溜息をつく理佐。

「愛佳まで誑かして……。全く」

「いや、誑かした訳じゃ」

「そうじゃなきゃ愛佳がキスするとは思えない」

「……」

「女の子は優しくされたら好きになっちゃうんだからね」


『あんまり簡単にそんな事したら女の子は勘違いしちゃうで?』

『さっき私の事女の子らしいって言ってくれたじゃん。あれ、凄く嬉しかった』

七瀬に言われた事、そして志田に言われ事を思い出す。
別に俺は思ったことを言っているだけであって、そんなつもりは毛頭ない。

「まあ、裕樹の場合、分かってやってないから尚更タチ悪い」

どうしてこんな俺を好いてくれるのか。
考えたところで俺には到底わかるわけもない。

「でも裕樹はそのままでいて」

そう言って微笑む理佐を俺は直視出来なかった。





イヴ ( 2018/07/04(水) 01:22 )