4章
12
「で、何で来たんだよ」

とりあえず俺の部屋へ案内する。
ベットに座る志田に対して椅子に座って対面する。

「だーかーらー、言ったじゃん衛藤先生の事聞くって」

あの時か。全く聞いていなかった。
そんな状態じゃなかったし。
まあ、既に解消された問題な訳だし話してもいいのかもしれない。

「……ちょっと長くなるけど」

「うん。聞く聞く」

それから少しの間、俺はみさ姉との過去を志田に話した。
包み隠さず全てを。

「って感じ」

「……」

沈黙する志田。ここで大いに笑われても嫌なものだが、こうして黙り込まれてもそれはそれで嫌な感じである。

「な、なんかリアクションしてくれよ」

「ううー、なんか涙出てくるぅ」

少しだけ目を赤くしてそういう志田。

「何で泣くんだよ」

「わかんないけど涙出てくるぅ」

意外とと言うと失礼なのかもしれないが、内面はものすごく女の子な志田。
見た目や格好はボーイッシュなのに。

「はぁ、落ち着いた。ごめん泣いちゃって」

「いや、良いけどさ。お前って意外と女の子らしいのな」

「えっ?なになに、もう一回言って」

パッと明るい顔になる志田。感情の変化が激しい奴だ。

「言いません」

「言ってよー」

「嫌だ」

「ケチ」

「ケチで結構」

「ぶー」

口を尖らせ拗ねる志田。
その手には枕が抱かれている。
理佐といい、女はこうして枕を抱くのが好きなのか。

「用は済んだだろ。そろそろ暗くなるし帰れよ」

「やだ、まだ帰りたくない」

「全く……」

相変わらずわがままな事で。
意地でも帰らないという姿勢が伺える。
しばらくの沈黙の後、志田が口を開く。

「……ねぇ裕樹。今、男の子の部屋に女の子と2人きりだよ?」

「……だから何だよ」

この雰囲気は一体何だ。
枕を抱いて女の子座りをしている志田。
泣いた後で少し潤んでいる目が妙に色気を醸している。

「私ってそんなに魅力無いかな?一応こんなんだけどちゃんと女の子なんだよ?」

「またそうやってからかってるんだろ」

「違うよ。さっき私の事女の子らしいって言ってくれたじゃん。あれ、凄く嬉しかった」

一段と強く抱きしめられる我がベットの枕。
グニャリと形が崩れる程に。

「私、裕樹の事……好きになっちゃったかも」

「かもって……」

グッと近付く志田と俺の距離。枕を放り投げ、椅子に座る俺の膝の上に向かい合う形で座ってくる志田。
ゆっくりと目を瞑る志田。
徐々に近付いてくる彼女の唇を俺は受け入れてしまった。
ぽってりとした柔らかな唇。

「志田……」

「衛藤先生との話を聞いてそういう気分になっただけだから。……普段はこんな事しないから」

「ああ……」

再び重なる唇。
どちらからともなく自然と絡み合う舌。
ピチャピチャと唾液の混ざり合う音が響く。
唇を離すと、唾液がツーっと糸を引き、そしてプツンと切れた。

「この先は……ダメ」

「えっ」

「気分に流されてしたくない。裕樹にも失礼だから」

そう言って俺から離れていく志田。
かと思えばおもむろにしゃがみ込む。

「でも、こうなったのは私の所為だし、抜いてあげる」

俺の硬くなった股間を撫で回し、ファスナーを下ろす志田。
中から引っ張り出されたモノが志田の細い手で握られる。

「ガチガチじゃーん。ピクピクしてるし」

ゆっくりと扱き上げられる俺のモノ。

「くっ……」

気持ちいい。しかし微々たる刺激にもどかしさを感じる。

「志田……」

「何?」

下から俺を見上げる志田。依然としてゆっくりな手の動きに俺の我慢は限界だった。

「もっと早く……」

「早くするだけでいいの?」

反り勃った俺のモノにフッと息が吹きかけられる。
志田の柔らかな唇の感触を思い出す。

「口で……」

「口で、何?ちゃんと言わないとしてあげない」

「口で咥えてくれっ」

「こう?」

ねっとりと俺のモノをしゃぶる志田。
男友達の様に見ていたこいつが、こんないやらしい事をしている。
柔らかな唇で先端に吸い付かれ、根元の方を手で扱かれる。
あっと言う間に限界が来た。

「志田、出るっ」

「んんっ」

ドクドクと吐き出される精液を、顔をしかめながらも一滴も残らず吸い取る志田。
そのままゴクリと喉を鳴らした。

「もー、裕樹早くない?早漏とかうける〜」

「うるせぇ、早漏じゃねぇよ」

「でも、私の口で気持ち良くなってくれたって事だもんね。ちょっと嬉しいかも」

ふと志田と視線がぶつかる。
お互い急に恥ずかしくなったのか、俺はいそいそとモノをしまい、志田は乱れた前髪を何度も直す。

「じゃあ……帰るね」

俺の家に乗り込んで来た時よりも数段しおらしくなっている姿はまさに乙女だった。
玄関のドアを開け外に出ると、もう真っ暗だ。

「もう暗いけど、送らなくていいか?」

「だって家知られたらいつ裕樹に襲われるかわかんないもーん」

人の家に乗り込んで置いて言う台詞ではない。

「お前なぁ」

「あはは。冗談だよ、大丈夫」

そう言って俺に背を向ける志田。

「ちゃんと落ち着いたら、私の気持ち伝えるね」

そう言って志田は帰って行った。
全く、ガサツなんだか真面目なんだかわからん奴だ。

部屋に戻り、ベットに横になる。
まさかあの志田が、あんな一面を見せるなんて。
時計は20時過ぎを指している。
俺はそのまま目を閉じた。





イヴ ( 2018/07/03(火) 04:08 )