12章
04
「で、まだ決まらないのかよ」

お馴染みのモール内にある店舗の前で飛鳥を待っているのだが、一向に出てこない。
中を覗くと、マフラーを2つ手に持ち立ち尽くしていた。

「駄目だ。どっちも私を離してくれないんだ」

「……」

一体何を言っているのだ。
離してくれないも何も、飛鳥の手はしっかりとマフラーを握り締めている。
右手には黒、左手には白のマフラー。
そう言えば飛鳥って白とか黒が多いイメージがある。

「白か黒がいいのか?」

「うん、好きな色だから」

「ふーん。……こういうの嫌いそうだな」

俺が指したのはオレンジ色のマフラー。

「やだ。選択肢にすら入らない」

オレンジ色よ、あんたは悪くない。
許してやってくれ。
しかしこのままでは埒が明かない。
俺は少し強引に飛鳥の手からマフラーを掻っさらい、レジへ。

「え、ちょっと」

ラッピングも頼み、表示された金額を支払う。

「ほら」

「え?」

「ちょっと早いけど、クリスマスプレゼントって事で」

綺麗にラッピングされた袋を飛鳥の手に握らせる。
ギュッと握り締められた飛鳥の手。

「さ、帰ろうぜ」

俺は店を出る。
後ろから小走りで付いてくる飛鳥。

「ね、ねえっ!」

「ん?」

袋を両手で抱きかかえる様にして持った飛鳥が立ち止まる。

「……ありがと。だ、大事にする」

「おう」

さあ、また寒い寒い自転車の道のりが待っている。
しかし、何だか心は暖かった。


イヴ ( 2018/11/02(金) 18:53 )