11章
08
学園祭2日目。

「ちょっとヤバくないか?」

「うん、ヤバイね」

厨房から外を覗く俺と白石。
まだ開始前というのに、昨日の2倍以上のお客さんが既に並んでいた。
その中に昨日居た子達もチラホラと見える。

「予想以上に人気出たなここ」

「どっかの執事さんのおかげかな?」

「まさか」

これは間違いなく売り上げトップを頂けそうだ。
しかし、これをさばき切るのはなかなか大変そうだな……。

間も無くオープン。
俺はパンと頬を叩き、気合いを入れた。



「きっつ……」

常に満席状態で、クラスメイトは忙しなく動き回っていた。
オムライスも秒速で完売し、俺と白石も手伝いに回っている。

「飛鳥さーん!」

「何、今忙しいんだけど」

何か客と仲良くなってるんだけど。
そう言えば昨日飛鳥に接客されていた子だ。
そしてめちゃくちゃ訛ってた子だ。
確か名前は……桃子ちゃん。
飛鳥もあんな言い方をしているが、内心嬉しいようで口元がニヤケていた。

「お待たせ致しました、パンケーキです」

その席へパンケーキを運ぶ。

「あー!昨日の執事さん!」

「桃子お嬢様、どうぞお召し上がり下さい」

だんだんこのキャラに慣れてきた。
まあそれも今日で終わりなんだけど。

「桃子の事覚えてくれてるんですか……?」

「もちろんでございます」

「おいバカ裕樹、私の桃子に手出すなよ」

俺の肩をベシベシと叩く飛鳥。
この子はいつからお前のものになったんだ。

「あっ、飛鳥さん、もしかしてヤキモチ焼いてるんですか?」

「おいコラ桃子!」

後輩にまで弄られる飛鳥。
完全に自分がメイドって事忘れてるだろ。
でも、こうやって仲良くなれてるんだからこの学園祭は成功なんだろうな。





しばらく満席状態が続き、お昼を過ぎた頃。
ようやく出入りも少なくなり、落ち着いてきた。

「お帰りなさいませ!あら」

秋元の声が響く。
ふと入り口を見ると、美月ちゃんと史緒里ちゃんが立っていた。よく見るとその2人の後ろに祐希もいる。

「ほら、与田」

美月ちゃんが手を引くが、どうしても出てこない。
今回は珍しく長いこと拗ねている。
全く……。

「お帰りなさいませ、お嬢様方。どうぞこちらへ」

俺の誘導に美月ちゃんと史緒里ちゃんは席へ向かうが、祐希は未だに動こうとしない。

「……」

黙ったまま横を向いている祐希。
こういうのはあまりしたくないが、仕方ない。

「祐希お嬢様、こちらへどうぞ」

「ふんっ」

「祐希お嬢様だけの特別なパンケーキをご用意しようと思ったのですが、仕方ないですね。あのお2人に……」

「食べる!」

チョロいもんだ。




イヴ ( 2018/09/27(木) 21:28 )