10章
06
「んはぁ……ふふっ」

長く粘っこいキス。
唇が離れると、生田は惚けたような声を漏らした。
トロンと恍惚の表情を浮かべ、柔らかく微笑んでいる。

「どうしよう裕樹君」

「え、何?」

「えっちな気分になっちゃったなあ……」

生田は体を俺に擦り寄せ、そして俺の手を取ると、そのまま口元に運んだ。
人差し指がチロチロと舐められたかと思えば、付け根まで咥え込まれた。
チュパチュパと音を立てて俺の指に吸い付く生田。

「生田……」

「んっ……裕樹君のせいで私、どんどんえっちな女の子になっちゃう」

「ははは……俺のせいね……」

「そうだよ。毎日裕樹君の事で頭がいっぱいなんだから。ちゃーんと責任、取ってよね」

俺の太腿に座る様な形で対面した生田が、そのまま抱き着いてくる。

「裕樹君の、硬くなってる」

先程までの生田の行為で、既に俺のモノは硬くなり、上を向いていた。
そして生田は硬くなったモノを、下着越しに秘部に擦り付ける様に上下に動き始める。

「くっ……」

「はあ……」

布が擦れ、絶妙な刺激が俺を襲う。
しかしそれは生田も同じ様で、熱を帯びた声を漏らしていた。

気持ち良い。しかし、決して果てる事は無い刺激。生き地獄のようだ。
部屋の大きなテレビから流れるBGMを掻き消すお互いの荒い息遣い。
場所が場所なだけに、普段よりも数倍興奮している。

「はあっ……裕樹君……気持ち良いよぉ……」

脳髄に響く生田の甘く、切ない声。
そしていやらしい腰使い。
これ以上はこの昂ぶった気持ちを抑えられそうになかった。
俺は生田の動きを止めるようにキツく抱きしめる。

「生田、これ以上は我慢出来なくなる」

「良いよ、裕樹君」

「駄目。ここじゃ誰かに見られるかもしれないだろ」

「ううっ、でも私もう我慢出来ないよぉ……」

濡れた瞳で俺を見つめる生田。

「生田のいやらしい姿、他の人に見せたくないし、その声を他の人に聞かせたくない」

俺は生田を立ち上がらせ、手を引きながら部屋を出た。
さっと会計を済ましカラオケを後にする。

「……」

自転車に跨った俺を悲しげに見つめる生田。
何か勘違いをしているようだ。
我慢出来ないのは俺も同じ。
もうその気になってしまっている。

「生田、乗って」

「えっ?」

「俺、早く生田としたい」

「裕樹君……うんっ」

俺は今朝と同じく自転車を飛ばす。
行き先はカラオケから僅かな距離に建てられたホテルだ。



イヴ ( 2018/09/09(日) 22:56 )