10章
01
遂に、夏休みが明けた。
長かったような短かったような、あっという間の、でも沢山の思い出が出来た夏休みだった。

休みでボケている体に鞭を打ち、朝から授業を受ける。
隣の飛鳥も終始眠そうで、何度も欠伸をしていた。

「はーい、プリント配るから回してね」

授業終わりのホームルーム。
新内先生によってプリントが配布された。

「授業参観と三者面談、か」

配布されたプリントの内容は、来週の授業参観とその後の面談の参加用紙だ。
俺には関係の無い話だった。
これを家に持ち帰ったところで、両親どちらの目に付く事も無く、当日が来ても白紙のまま放置される事だろう。

気付けばホームルームも終わり、皆帰宅の準備を済ませている。
飛鳥の周りにはいつもの面々が集まって配られたプリントの話をしている。

俺は配られたばかりのプリントをクシャクシャに丸め、教室の後ろに設置されているゴミ箱に投げ捨てた。

「えっ、東雲君プリント……」

俺の行動に気付いた斉藤が声を上げる。
そのせいで全員の視線が俺に集まってしまった。

「ああ、いらないよ」

俺の言葉に皆んな少し驚いたような、そして悲しそうな顔をしている。
唯一事情を知っている生田も同様に。
俺はバツが悪くなった。
こういう空気は嫌いだ。

「でも親御さん来るんじゃ……」

俺は斉藤の言葉を聞いた直後に席を立つ。

「来ないよ。絶対に」

俺はそのまま教室を出た。
何だか八つ当たりの様になってしまった。
申し訳なく思ったが、もう遅かった。
俺は足早に学校を出ると、真っ直ぐ家に帰った。

「はぁ……斉藤に謝らないとな」

気を遣ってくれた斉藤にあの態度は無い。
自分の小ささを改めて実感した。
情け無い話だ。
今までならこんな事はしなかっただろう。
この学校に入って、皆んなと出会って仲良くなって、人と一緒に居る事の楽しさを知った。いや、知ってしまった。
今までは何とも思わなかった独りという現状が、今ではたまらなくつまらないと思うようになっていた。

「あー、嫌になる」

俺は部屋の電気も付けず、ベットに寝転び、ただ天井を見つめていた。





■筆者メッセージ
閲覧数が19万を突破しました。
もう間も無く20万……。

ありがとうございます!
何度も読み返して頂いているのでしょうか……。そうだとしたら嬉しい限りです。
これからも良い作品作りに専念して参ります!
拙い文章ですが、これからもどうぞよろしくお願い致します!
イヴ ( 2018/09/05(水) 23:33 )