8章
25

「東雲君は、天性の女誑しだよ。皆んなその気にさせちゃうんだもん」

「えーっと……」

「昨日といい今といい、優里めっちゃドキドキしちゃったんだから」

そう言ってハニカミ、俺から視線を逸らす斉藤。
カーテンから漏れる光で照らされた横顔は、ほんのり赤く染まっているように見えた。

「よしっ、優里も負けないからねぇ〜」

そう言って立ち上がると、いつも通りの笑顔でおやすみと呟き、部屋に戻っていった。

俺を良く思ってくれる人が多いのは素直に嬉しい事だ。
でも、皆んなが思っている人ほど俺は出来た人間じゃないし、最低な人間だと思う。
それでもこうして仲良くしてくれる人が沢山いるという事実に、俺は恵まれていると実感した。

しばらくぼーっとしていた。
なんだか気分が良い。
せっかくだ、皆んなの朝ご飯でも作ろう。

部屋の電気を付け、事前に持ってきておいた食材で調理を始める。
と言っても、日持ちする物を優先して持ってきたので、作れる物は限られているし、なるべく火は通した方がいい。

「ホットサンドでいいや」

人数分のパンを焼きつつ、昨日のバーベキューで使用しなかった野菜と肉を炒め、中に詰める具にする。
大量のパンが焼け、良い匂いがする。
気付けばもう8時になろうとしている。

「おはよ〜。ん……良い匂い」

「おはよう七瀬」

目をこすりながら階段をトボトボ降りてくる七瀬。
匂いにつられキッチンへやって来た。

「うわ、めっちゃ美味しそう。ほんま裕樹料理上手いよなあ」

「まあ、基本自炊ばっかりだからな。あ、皆んな起こして来て貰っていい?」

「おっけー!」

七瀬は手でOKの文字を作り、ドタドタと階段を登って行った。
人数分のお皿に出来上がったホットサンドを乗せテーブルに並べていると、ぞろぞろと階段から寝起きの面々が降りて来た。

また騒がしい1日が始まる。




イヴ ( 2018/08/09(木) 12:20 )