忘れることのない恋
第1章
5話

咲良と二人きりになってしまった…
正直、絶好のチャンスではある。

お互いお酒も入っているので
勇気を振り絞って聞いてみた。


雄介「そういえば、宮脇さんって彼氏とかいるの?」

咲良「えっ!?いないですよ!職業柄出会いが少なくって」

雄介「職業柄?」

咲良、ニコッ「私、保育士なんですよ!」


子供が大好きな咲良は、保育士免許の取れる大学を卒業しており、進路も保育士となった。

しかし、あの由依が保育士ねぇ…


雄介「保育士さんって肉体的にも精神的にもキツイってよく聞くけど宮脇さん大丈夫なの?」

咲良「好きでこの道を選んだんで、全く苦ではないですよ。むしろ毎日可愛い子達に囲まれて充実してます!」


仕事の話をしている
彼女の顔はとてもキラキラと輝いていた。

対照的に俺はそこまで仕事を楽しいと思えていない。
ただ、ひたすらに仕事をこなしていく日々で彼女の様な感情を抱いたことはない。

だからこそ
彼女は自分に持っていないキラキラを持っているからか、ドンドン惹かれていった。

彼女に少しでも振り向いてもらいたいその一心で…俺は彼女に頼んだ。


雄介「もし、宮脇さんさえ良ければ連絡先教えてもらえないかな?」

咲良は迷うことなく

咲良、ニコッ「はい、もちろん良いですよ!」


その様子を影から由依が見ていた。

由依 (上手くいったな。あとは雄介次第やで。)


そして、いかにも今お手洗いから帰ってきたフリして由依が二人の元に戻ってきた。


由依「ただいまー。あれっ!?なんか二人いい雰囲気やん!」

由依がそう言うと、咲良が恥ずかしながら


咲良「そ、そうかなぁ〜?」

雄介「お前は茶化しに戻ってきたのか…」


そのまま楽しく飲み会は終わり
その日は解散となった。


帰り道
俺はずっと彼女のことを考えていた。
なんとか連絡先を聞けたチャンス
今日のお礼の文章を考えていると…


「今日はすっごい楽しかったです♫
由依ちゃんに声掛けてもらって
急に参加したので迷惑かなーと思ってたんですけど、雄介さんが優しくって良かったです!
また一緒にご飯とか遊びに行けると嬉しいです!」

先に彼女から連絡が来た。
男としては、先に先手を打たれ少しショックではあるが、これで連絡をするきっかけが出来て舞い上がっていた。


一方、向こうサイドでは

由依「どうやった、雄介は?」

咲良「本当に良い人だよね!それにすっごい優しいし!」

由依、ニヤリ「男として見ると?」

咲良「うーん。すごく良い人なんだけど私には勿体無い人かな…私すっごい子供だからさ…」

由依「自分で自分の価値を下げるもんやないで!それに、そんなこと言うて雄介にアタックされたら嬉しいやろ?」

咲良「そ…そりゃ嬉しいけど…」

由依「なら答えは出とるやん!自分の気持ちに正直にならな!!」

咲良「だ…誰もが由依ちゃんみたいに強い人間じゃないの!」


二人の運命の歯車が動き出そうとしていた。




くろ ( 2018/02/06(火) 23:15 )