業火
03
目を覚ますと、友一は真っ白な部屋に横たわっていた。

「ここは・・・」

あたりをゆっくりと見回すと、窓が見えた。外からは光が漏れ、花瓶の中の水をキラキラと光らせている。

ピッ・・ピッ・・ピッ・・・

後ろから心電図の音が聞こえてくる。振り返ると、心電図のグラフが規則正しく上下している。

ガラガラガラ

心電図の音をバックに窓を見ていると、ドアが開いた。

「おっ、友一!起きたか!」

「大丈夫?友一。」

頼人と友美がスーパーの袋を持って入ってきた。

「姉さん・・・頼人さん・・・」

思えば、友一が悩んでいる時、二人はよく相談に乗ってくれた。阿弥のことだけでなく、様々なことについて一緒に考えてくれていた。

そんなことを考えていると、自然と涙が溢れてきた。

「バッカ、泣くなよ。」

「心配したんだよ・・・自分の弟がこんなにバカとは思わなかった・・・」

頼人は明るく振る舞い、友美は悪口を言いながらも涙していた。

「牧野!」

「牧野君!」

病室に、常夫と奈和が入ってきた。

「良かった〜、目、覚めたんだね。」

「お前、心配したよ。」

二人ともさっきの頼人達と同じ表情をした。

「そういえば、阿弥は?阿弥は無事なの?」

友一が尋ねると、二人は黙り込んでしまったが、その直後に洋祐が病室に飛び込むなり、

「おい、柴田が起きたぞ!」

奈和と常夫が振り向くと、そこには洋祐と、彼のすぐ横を駆け抜けていく友一の姿があった。













■筆者メッセージ
次回作の構想ができたので一応告知です。
SIRENというホラゲーを題材にした小説を書こうと思ってます。

darkhero ( 2014/06/29(日) 00:12 )