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その後、店で一通り用を済ませた二人は、阿弥のクラスに行くことにした。
「いらっしゃ・・・あ、友一君!木嶋君も一緒?来て来て!」
阿弥のクラスは射的など、縁日でよく見かけるものを出し物としているようだ。
「いいよな、女子に名前で呼んでもらっちゃって。」
常夫が羨ましそうな顔で友一を一瞥し、コルクガンを受け取った。
「牧野君もどうぞ。」
阿弥が別のコルクガンを差し出して来たので受け取り、二人でしばらく射的を楽しんだ。
◇
「くっそぉぉぉぉっ!・・・」
射的で散々な目にあった常夫は、休憩所で大げさに残念がり、ジュースを一気に飲み干した。
「ちゃんと狙わねえからだよ。ばーか。」
洋祐が茶化すと、
「あれ、けっこうコツがいるからね。」
奈和も洋祐と同感のようだ。
「なんだよ、どいつもこいつも・・・」
常夫はむくれた。
一方、そんなやり取りを見ている集団がいた。
「全く、あいつらは低俗以外のなんでもないなぁ。クラスの恥だよ。そう思わないか?綾巴。」
雄伍が隣に座る綾巴に同意を求めた。すると綾巴は、
「別になんとも?」
と、そっけなく返した。
「それじゃあ、お前らは?」
向かいに座っている男子たちにも聞いた。
「そう思う。」
「俺も。」
「同じく。」
全員同意し、その中のひとりが、
「この前撮った写真。面白いものが写ってるよ。」
と言って、写メを雄伍に見せた。
すると、雄伍は邪悪な笑みを見せながら、
「確かに、これはおもしろそうだな。」
と言って、ゆっくりと、友一達に目を向けた。