リア充の宴
12
次の日――――

「これより、第48回文化祭、二日目を始めます。クラブ活動等の出し物がある生徒は、顧問及び担任と話し合い、どちらを優先するか決めてください。それでは、ルールを守って、めいいっぱい楽しみましょう!」

昨日とほとんど同じアナウンスと共に、文化祭の後半が始まった。昨日と同じように生徒達は思い思いの場所へ散っていく。

「もしもし?・・・おお、分かった。楽しみにしてるぜ。」

常夫は電話を済ませ、友一のところへ向かった。

「ワリィ、待った?」

「いや、大丈夫。」

友一はそう答えると、

「それじゃあ、どこ行く?」

と尋ねた。阿弥はクラスの、奈和は部活の出し物のためここにはいない。

「ここ!ここ行こうぜ!」

常夫が指差したところには、“コスプレ喫茶”と書いてある。下級生の出し物のようだ。

「マジ?ここ行くの?」

友一が怪訝な顔をすると、常夫は、

「いいじゃんかよ〜。行こうぜ。」

と言って、半ば強引に友一を連れて行った。


               ◇


「いらっしゃいませ!」

戦隊ものの衣装を着た男子が迎え入れた。

「こちらへどうぞ!」

席に座ると、常夫がその男子に、

「よぉ、元気?」

と言った。聞くと、後輩らしい。常夫がここに来たのも、それが理由だそうだ。

「ご注文はどうしますか?」

今後は、メイド姿の女子が注文を取りに来た。かなり大人びた見た目で、美人だ。
二人はそれぞれ注文を済ませた。

「なぁ牧野。」

「ん?」

「今の子むっちゃ可愛くね?後で名前聞こ。」

「あんまりしつこくすんなよ?」

他愛の無い会話を済ませ、パンフを見ながら次の行き場所を考えていると・・・

「お待たせしました。」

先程の女子が注文したものを持ってきた。

「君の名前、教えてくれない?」

早速常夫が質問をした。すると、

「北川です。北川綾巴です。」

友一は“北川”という名前を聞いて、久しぶりの感覚に襲われた。いつかの屋上で、ゲームセンターのトイレ内で体感した、あの感覚。

「綾巴?いい名前だね。っていうか、北川ってことは・・・」

常夫も薄々気づいたようだ。

「はい。北川雄伍の妹です。」

綾巴はそう言うと、友一に向かって

「兄が迷惑をかけたみたいですね。すみません。」
と言いながら、お辞儀をした

「ごゆっくり。」

と笑顔でささやき、裏方へ戻っていった。









darkhero ( 2014/04/22(火) 05:17 )