リア充の宴
08
「おい、牧野!」

常夫が大急ぎで友一のもとへやってきた。

「ああ、木嶋・・・ごめん、野木が・・・」

友一が俯きながら言うと、

「いや、気にすんなよ。しかしあいつ、バンドどうすんだ?・・・」

常夫は洋祐が連れてかれた廊下の先を見ながらつぶやいた。

「私のせいで・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・」

阿弥が涙をぼろぼろこぼしながらお辞儀をした。

「阿弥は何も悪いことはしてないよ。」

「ああ。気にすんなって。」

友一と常夫は一緒に阿弥を慰めた。

その後、野木は登校禁止になり、それと同時にバンドも事実上不参加ということになってしまった。

文化祭一日目はこの騒動以外は無事に終了し、生徒達は下校していった。
なお、この騒動は教員達しか知らない。生徒たちに広まるのを恐れた教員たちが何も言わずにもみ消したのだ。


友一は、常夫、阿弥、洋祐、奈和と帰路についていた。

「いやぁ、やっちまったぜ!へへへ・・・」

洋祐が陽気にそう言いながら振り返ると、顔が死んだ友一達が

「よくそんなテンションでいられるな。」

と言わんばかりの目で見ている。

「・・・ワリィ。」

洋祐が落ち着きを取り戻したところで、奈和が

「ほんっと、最悪!野木君は何も悪くないのに!」

と言いながら小石を蹴飛ばした。

「しょうがないよ。今更何か言えるわけでもないんだし。」

友一が奈和をなだめていると、洋祐が急に振り返って、

「俺さ、ちょっとした作戦思いついちゃった!ここだと誰かに聞かれるかもしれないから、ちょっと俺んち来いよ!ここからすぐ近くだからさ。」

と言って、走り出した。

前までの友一なら間違いなくついていかずに帰宅しただろう。しかし、今は仲間がいる。信頼できる、仲間がいる。だからできなかったこともできるはず。そう考えていると、いつの間にかほかの仲間達と共に、友一自身も走りだしていた。









darkhero ( 2014/04/22(火) 05:13 )