リア充の宴
01
秋が深まる季節―――

友一は、晴れて阿弥と付き合うことになった。とはいえ、そこまで頻繁にデートなどはしない。お互いを求め合う・・・いわゆる“ムフフ”な事はおろか、キスすらまだ一度もしていない。
それでも友一は幸せだった。阿弥も幸せでいてくれているし、何より“一人”じゃなくなった。

「おい牧野、お前はどれがいい?」

ぼんやりと外を眺めていると、不意に教壇に立っている生徒に何かを聞かれた。いきなり聞かれたのであたふたしていると、

「おいおい、また柴田のこと考えてたのかよ?」

と言った。そいつの一言で、教室中が笑いに包まれた。

黒板には箇条書きでこんなことが書かれている。

・カジノ

・喫茶店

・縁日っぽいゲーム

・お化け屋敷

・自作の映画

・ホスト、メイド喫茶

言うまでもなく、文化祭の出しものについての話し合いだ。

「僕は・・・別にどれでもいいかな・・・」

無難な答えを出すと、奈和が「しめた!」と言わんばかりの顔で、

「じゃあ、映画の主演やってよ!ラブコメでキスシーンも入れようと思ってるんだけど・・・」

「うわわっ!ちょっと待って!」

友一の必死な頼みに、教室の笑い声は一層大きなものとなった。

賛否両論の末、結局映画になり、友一は主演を務めることになってしまった。友一の必死の弁論の甲斐あって、ラブコメではなくただの“コメディ”映画にはなったが・・・

「こういうのって・・・リア充がやるものなんじゃ・・・」

早速、映画の撮影に入った。




darkhero ( 2014/04/22(火) 05:06 )