忍び寄る影
01
週明け・・・

友一はいつもどうり、学校に来ていた。とはいえ、状況は変わっていない。
阿弥とデート出来たとはいえ、学校に友達が出来たというわけではない。結局は一人なのだ。ため息をつきながら席に座っていると、

「おはよう牧野君!牧野君、私と同じクラスだったんだ。」

突然、頭上から声が聞こえた。見上げると、そこには奈和がいた。

「あっ、古畑さん・・・おはようっす・・・」

あまりにも予想外の展開に、友一はただただ驚く事しかできなかった。

「敬語じゃなくていいよ〜。ま、どうでもいいけど。」

奈和は前の人の椅子を借りて、友一の目の前に座った。

「それでさ、どうだった?」

「どうだったって、何が?」

奈和の問いかけに友一が答えると、

「も〜っ、あやちゃんとのデートのことだよ。わかるでしょっ!」

と呆れ返ったような顔で言った。

そして、友一はデートのことを話した。すると、

「そっか、よかった・・・」

と、なぜかかなり安心したような顔で言った。

「いやね、あやちゃん、周りの人のこと、あんまり信用してないっぽくてさ、だから涙なんて見せたことなかったんだ。もしかして、生まれつき泣くことが出来ない子なのかと思ってたの。でもそんなこと無かったんだね。よかったよかった・・・」

奈和はしみじみとした顔で窓の外を見つめていた。その瞬間、授業の始まりを知らせるチャイムが鳴り響いた。

やっぱり阿弥は幸せだ。友一は阿弥に若干嫉妬しながら、久しぶりに授業をまともに受けてみた。








darkhero ( 2014/04/21(月) 05:59 )