05
「おいクソガキ・・・邪魔なんだよぉ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
男はまだ友一の首にナイフを突きつけている。
「阿弥には・・・何も・・・しないでください・・・」
「ああ?んだとコラァ!」
男は急に叫びだし、友一の首にナイフを振り下ろそうとした。
が、しかし、
ガシッ!
何者かに腕を掴まれ、動かなくなっている。見ると、頼人が片手で男の腕を掴んでいた。
「お前っ!子供に手を出すなっ!」
友一はさっきまでの頼人とはまるで違う彼の雰囲気に驚いた。
男も気迫に押されたのか、少したじろぎながら、
「う・・・うるせぇ!」
と必死にもがいたが、どうにもならない。
「友一、先に外に行きなさい。」
頼人が友一にそう言おうとした時、
ビシッ!
頼人の腕に切り傷ができている。
「くそっ、逃げられた!」
慌てて追いかけたが、既に逃げられたあとだった。
そこに、阿弥たちが駆け寄り、
「牧野君、大丈夫!?」
と言ってきた。さらに続けて、
「あのっ、助けてくださってありがとうございます!」
頼人に深々とお辞儀をした。
「いえいえ。あっ、友美!」
阿弥に返事をしたあと、頼人は友美のところへ向かった。