03
「なにー?」
咲良が答えながら振り向くと、また別の女子が近づいてきた。
「もーっ探したじゃん・・・って彼は?」
その子は友一の方を向いて言った。
「ああ、私の新しい友達の、牧野友一君。ほら、さっき話してた・・・」
「えっ、君が?はじめまして〜」
その子は気さくに握手をしてきた。
「私は古畑奈和。よろしくね!」
「ヨロシク・・・」
奈和と話をしながらも、少しだけ阿弥が気になっていた。それを奈和は見抜いたのか、
「ねえ咲良、みんなを呼びに行こう。」
「えっ?」
奈和は咲良に耳打ちをした。すると、咲良はなるほど、という感じの顔で頷き、
「そうだね!呼びに行こう!」
と言って、去って行った。去り際に、奈和は阿弥と友一にウィンクをしていった。
「えっと・・・これからどうする?」
友一が聞くと、
「うーん・・・どうしよっか?」
阿弥は笑いながら聞き返した。
その後は、家族の話などをして時間を潰した。
「私、ちょっとトイレ行ってくる。」
そう言って立ち上がり、トイレに向かった。阿弥が見えなくなった瞬間、
「おいおい友一、やったな!」
頼人が駆け寄ってきた。
「やったな、じゃないですよ・・・どこにいたんですか?」
友一が聞くと、
「いやあ、邪魔かと思ってさ、引き続き頑張れよ。俺は友美を迎えに行ってるから。」
と言って、頼人は何処かへ行ってしまった。やることがまるで中学生だ。
この間、頼人と友一はトイレのほうは見ていなかった。それゆえ、女子トイレに侵入する怪しい人物に気づかないでいた・・・