01
「ふぅぅん!ふっ、うぅん!」
私は自宅のトイレで声を上げる。
お尻丸出しの格好で。
「……っはぁ、はぁ、どうして出ないの?」
やるせなさが私を支配していた。
「もう5日目なのに……」
何となく出そうで出ないこの瞬間が1番辛い。
「ふぅん!」
いくら力を込めても。
「ぷっ、ぷすぅぅう」
お尻からはエアーしか出てこない。
「どうしてよぉ……」
思わず天井を見上げ嘆いた。
私の名前は結希
ゆきではなくて、ゆうきって読む
私は体質的に便秘になりやすく、こうやって個室の中で嘆いていた。
もちろん全く無策って訳ではなくて、食物繊維の取れる補助食品、ヨーグルトや牛乳など刺激してくれる物は全部試してる。
だけど私のお腹はとても頑固でなかなか動いてくれない。
しかも今日は公演のある日。
体が重くならないか心配ではあった。
朝ご飯にも、お昼ご飯にも野菜を取り入れたんだけれど、それでも私のお腹は動きを見せず。
ついに公演前のリハーサルが始まった。
「はたごん動き重いね、どうしたの?」
同じチームのキャプテン、真木子さんがそう言う。
「すみません、何ともないんですけど……」
(やっぱりキャプテン、ちゃんと見抜いてるんだなぁ)
明らかに動きの面でも影響が出てきていた。
(これだけ体動かしてるのに、どうしてお腹は動かないの?)
休憩中、お腹を擦りながら小さくため息をついた。
公演前の円陣を組み、公演が始まる。
お腹の重い状態は続いてるけど、まずは公演を優先しよう。
前半の全体で出る曲は何とかこなせたけど、やっぱりキャプテンの言う通り、身体の重さは否めなかった。
そして公演も半ばに差し掛かり、舞台裏の控え室で次の曲の準備をしていた時だった。