第二章
{黒い笑み}
「分かっとると思うけど、説明してもらわんとな?」

「あの〜、なんで怒ってんすか……?」

「なんでやろな?」

横山の声を聞くと、明らかにドスがあり怒った声だった。
洋介はなぜ怒っているのか分からず尋ねても教えてはもらえなかった。
もう説明するまで横山は口を開く気が無いらしく、電話越しではあるが2人の間に沈黙が流れた。

「え〜入山さんとのことに関してはですね、たまたま会って少しお話して写真を撮っただけです!」

「……ホンマに? 下心があったんとちゃうの?」

「あるわけ無いじゃにですか! 止めて下さいよ本当ですって」

「フフッ♪ 分かったわ、信じる。……今日の公演は見に来るん?」

「はい、見させてもらいますよ。」

「そうなんや……分かった。じゃあ、またな?」

 そんなに直ぐに信じてもらえるとは思っていなかった為か、洋介は少し拍子抜けしたような気分だった。
横山との電話を切ると、洋介は書斎へと消えていった。


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「昨日と同じで良いんですか?」

「あぁ、そうしてくれ」

洋介は今、劇場内で湯浅と話し合っていた。
 基本的に状況は昨日見たチームAの公演と一緒なのだが、あきらかに洋介は見ていてようすがおかしかった。

「では、失礼します……」

湯浅との話が終わり廊下を歩きながら洋介は考えていた。
 最初は横山になにかされるんじゃないかとか考えていたのだが、よくよく考えてみたらまず今日公演するチームKには大島優子と山本彩の二人がいることを思い出した。

「イヤな予感しかしねーし……」

そう呟いた洋介の口からは次の瞬間、深いため息がでた。

「やっと見つけたと思ったら……そんなため息ついたらしあわせが逃げてまうで?」

「でてったらまた吸えば良いから大丈夫です〜!」

「アハハッ! 洋介君も結構むちゃくちゃなこと言うな?」

探していたと言ったのは、横山だった。
洋介はなぜか自分のひとりごとを聞かれたのが急に恥ずかしくなり、やけ気味に言いかえした。
その結果、横山が笑顔になっていたので自然と洋介は悪い気がしなかった。

「ちょっと歩きながら話さへん? まだ知らんやろうから案内もかねてな?」

「全然良いですよ! むしろありがとうございます!」

「フフッ♪ ならいこか?」

 この時横山がいたずらを思い付いたような、黒い笑みを浮かべていたのを洋介は気がつかなかった……

■筆者メッセージ
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呂虎 ( 2014/07/27(日) 21:57 )