01
古畑と竹内を抱いた夜から2週間が経ったある日、事務所で和也の携帯が鳴った。相手は竹内だ。
「もしもし、お久しぶりです。竹内です」
「ああ、久しぶり」
普通に会話しているように聞こえるが、どこかぎこちない。
「あの、次のメンバーの連絡です」
「そうか‥で、誰だ?」
「おーちゃんです」
「末永‥か‥」
王道アイドルを突き進む末永が性欲処理の依頼をするとは意外だった。
「おーちゃんだって普通の女の子ですよ?」
和也の考えてることを見透かしたように言った。
「ま、まあそうだけど‥。ところで時間と場所は?」
「明日のお昼12時に奈和さんの時と同じホテルです」
「明日って‥夜はE公演だぞ?」
「だからお昼なんです」
「公演前にセックスするというのか!?」
「スケジュール的に仕方ないんですよ‥」
「いやいや‥ありえないだろ‥」
「和也さんは知らないと思いますけど、おーちゃんって公演前に家で1人Hしてるんです」
「え?」
「私だけに話してくれたんですが、公演中に脚とかお腹を見られて興奮するらしいんです」
「う、うん‥それで?」
「日によっては見せパンまで滲みちゃうくらい濡れるみたいで‥」
「だから公演前に発散しておく‥っていうことか」
「そうです。だから公演前にセックスするのは寧ろ好都合なんです」
「好都合って‥」
「ただ、おーちゃん‥処女ではないけど男性経験が無いそうです」
「は?どういうことだ?」
「実は、男性器の形をしたおもちゃで‥」
「じ、自分で‥ということか?」
「そうです。で、何度もしているうちに気持ち良さを覚えたらしいです」
「はあ‥なるほどね‥」
「恋愛経験も無くて本当のセックスを知らないから、和也さんに教えてほしいそうです」
「本当のセックスねぇ‥」
「お願いします。和也さんに色々と協力してあげてほしいんです」
和也は悩んだ。処女ではないとはいえ末永にとって初めての男ということになる。それが自分でいいのだろうか。
「和也さん‥お願いします‥」
「うーん‥分かったよ」
「本当ですか?ありがとうございます!」
「明日は昼前にレッスン場集合だから、何か適当な理由を付けて末永を連れ出すよ」
「そうしていただけると助かります」
「末永には竹内から連絡しておいてくれるか?」
「はい、連絡しておきます」
「じゃあ、よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
電話を切った和也は喫煙所に行き煙草に火を着けた。
「ふ〜‥色んなことが起こるなぁ‥」
大きく煙を吐き出すとボソッと呟いた。
翌日の朝、レッスン場には早めに来た和也の姿があった。