幕間
食事を用意した私は3名程席に着いていない事を確認する。
森勇作。
守屋茜。
そして、有美子お嬢様。
「……松田様。松平様はどうされたのかご存知でしょうか?」
私は既に國枝隆司と言う会社員と仲良くお喋りをしている松田里奈に声を掛けた。
「え? ……あっれ〜? さっき忘れ物がどうとか言って、部屋に戻って行った筈だけど」
そう言うと松田里奈はまた國枝隆司の方を向きお喋りを再開する。
「すいません、田村さん。僕と廣田さんにおかわりを用意して貰えますか?」
原口浩平が空のお皿を示しジェスチャーする。
「……畏まりました廣田様、原口様。ご用意致しますので少々お待ち下さい……」
丁寧にお辞儀をし、キッチンルームへと向かう。
(それにしてもお嬢様は一体何を考えているのだろう)
私は関家に雇われたただのメイドに過ぎない。
有美子お嬢様や旦那様に命じられれば大概の事はこなした。
しかし今回のこの急な『関家主催のパーティ』の開催。
しかもあの4名の会社員以外は全く関わり合いの無いメンバー達。
(それに『あの事』も……)
私は新たな料理を用意しながら頭を振る。
余計な事は考えなくても良い。
私はただ、求められるがまま指示に従えば良い。
それが『関家』に勤めるメイドの定め―――
私は料理を待つお客様の元へと、腕によりを掛けた手料理を運ぶ。