第七章/朱里
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 朱里が転校せずに済む方法。朱里の両親にも迷惑をかけず、尚且つ不審に思われない方法はもはや1つしかなかった。それは祐樹が朱里の一人暮らしの生活資金を援助することだった。その提案に朱里は申し訳なさを感じたが、祐樹は朱里の為ならと取り下げる気はなかった。

 そうと決まれば転校の手続きを済ませる前に朱里の家に行き、両親に説明もした。朱里の両親は自分の娘に転校させることを情けなく思っていたらしく『朱里がそれで幸せなら』と笑顔で了承する。付き合っていることは言わなかった。教師と生徒の関係であるために、もしかしたら朱里は身体で支払っているのではないかと思われるのが嫌だったからだ。確かにセックスはしたものの、それは愛し合っているからだ。いらぬ心配をかけないよう、朱里は祐樹と同じアパートで隣の部屋に住むことを両親に知らせた。

 隣人同士となった2人だが、朱里はほとんど祐樹の部屋に居て同棲状態だ。これでは2部屋分の家賃が無駄になっているが、その分朱里と一緒に居れるならと少しも苦に思わなかった。


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「ついに先生も生徒に手を出したか......」

 玲奈が腕を組み、朱里と祐樹を順番に見た。玲奈自身、祐樹から身体を触られたこともあるために半分冗談という感じだ。

「人聞きの悪いことを言わないでください」

「ホントのことだろ? まぁでもウオノメとまた一緒に居れるなら感謝しなきゃな」

 朱里と祐樹が付き合ってることを火鍋のメンバーに伝えると、皆驚いた顔を見せていた。祐樹に好意を持っていたのは朱里ではなく美音だと思っていたからだ。メンバーは驚いた後、一斉に美音の顔を見る。祐樹と朱里も同様に。
だが、美音は晴れやかな顔をしていた。我慢して辛いのを隠しているのかもしれない。そんな風にも思ったが、一線を超えて全てをさらけ出した仲だけに心からの笑顔だと分かった。
 
「そうだ! ウオノメも帰ってきたことだし、火鍋の新年会やろうぜ!」

 涼花が手を叩いた。

「お! いいな! お前らも参加するよな」

 美音が真子と南那、そして委員長の奈々に声をかけた。だが奈々だけは腹部を摩り、怪訝そうな顔をした。

「また食うのかよ......さっきので腹一杯だ」

「食べなくてもいいからとりあえず参加しましょうよ、ね」

「先生が言うなら、参加しようかな」

 奈々がニッと笑った。

「よーし! そうと決まれば買い出しに行くぞ!」

 火鍋のメンバーは財布を取り出し、自分たちの所持金を確かめた。決して大金を持っているわけではないが、出し合えばそれなりの金額にはなる。それに今回も祐樹が何割か奢ってくれるだろう。新年会なのだから豪勢にしたい。

「先生。んっ」

 朱里が手を差し出す。フニフニとした感触がする短い指が祐樹を誘った。

「手つなぎたいの? 朱里?」

「うん。お手手寂しいって言ってる」

「そっか。じゃあ寂しくないようにギュってしなきゃね」

 祐樹は差し出された左手に、右手の指を絡めるといわゆる恋人繋ぎをした。朱里と数日過ごす内に公共の場で密着する抵抗が無くなっていた。

「こ、こら! うちらの前でイチャイチャするな!」

「そうだぞ! 教育委員会に言いつけてやる」

「くそ! リア充め。さっさと爆発しろ!」

 密着し合う2人に火鍋のメンバーは口々に嫉妬の言葉を投げつけた。少しだけ優越感に浸ったような気分になった祐樹は悪戯心が湧く。左手で朱里の顎をクイッと持ち上げ、唇を奪った。

「んっ......」

 一瞬時が止まったが、目の前で見せられた状況についに玲奈達は堪忍袋の緒が切れた。


「お前ら、死ねええええ!!」

 
 

■筆者メッセージ
これで完結となります。最後の最後で投げやりになってしまって申し訳ありません。本当はもうちょっと話を伸ばしてラッパッパやキャンディちゃんも登場させる予定でした。ヨガちゃんとウオノメの絡みも見たいっていう希望もありましたし、フラグ回収もしてませんからね。
 もし精神的な気持ちが回復したら書きたかった分を書き始めるかもしれません。新作と共にまずはこの物語の書き直しから始まると思います。
 なので「仮完結」ということにしておいてください。
約一年間ですか。こんな妄想小説を読んでいただきありがとうございました!

この話に頂いた拍手メッセージは感想メッセージ欄で返しますね

オレンジさん
入籍っていう手もありましたね!入籍して、学校辞めて家事をするみたいな。それでも良かったですね。
最終話は期待に応えられてないと思います。申し訳ありません。
「様」付け辞めてください笑 お気遣いありがとうございます。気持ちが戻ったらいいなと、なんだかんだ書くの楽しいですからね。
ハリー ( 2017/01/13(金) 10:10 )