第二章/南那
05
 絡み合う舌、二人はいつもこうやってお互いを求め合う。南那の手が真子のスカートの中に入った。

「やん、南那のエッチ」

 真子は南那の手を抑えた。

「真子だってエッチじゃん」

 すると真子は手を離した。南那の手はそのまま真子のパンツに到達する。

「んっ」

 真子はまた南那にキスした。南那の小さな指は真子の秘部をパンツの上からなぞった。真子の身体は、ひくっと反応する。軽く湿っていた。真子はキスで感じてしまう体質だった。

「エッチなのは真子のほうでしょ、もう湿ってるよ」

「うるさい、南那が可愛いのがいけないんだ」

「あ〜そんなこと言っていいのかな?」

 南那はパンツの横から指を素早く入れ、直接真子の性器を触った。

「ひゃっ、南那っ」

 んんっ、と真子は感じ始める。南那は真子のこの反応が好きだった。二人は決して血が繋がっているわけではない、しかし昔から双子の姉妹の様に片時も離れずお互い成長してきた。そして二人が思春期に入り、性や恋愛に興味が出てきた頃、二人はその対象を異性にではなくお互いに向けられた。人前では「カミソリ・ゾンビ」と呼び合っているが、二人きりのときは名前でお互いを呼び合っている。

 南那は真子の女性器にある突起物をいじる。真子はここを触ると可愛い声を出すのだ。

「あっ……んっっ」

 真子は南那にしがみつく。いつもは真子を姉の様に思っているが、行為に及ぶとき南那は真子の主導権を完全に奪っている。真子も、妹の様に思っている南那に責められるのがたまらなく好きであった。
南那の指は真子の性器の中に入っていた。トロトロしている熱い液の中をかき分けるように真子の膣をクチュクチュと責め続ける。真子の座っている椅子から床にかけて、真子の愛液が垂れて濡れていた。

「南那、イキそう……っ」

「イキそうなの?」

 南那は子供のようにニカっと笑うと指の動かす速度を速めた。南那の手には真子の愛液がぴゅっぴゅっとかかっている。

「んん……っ、南那、あっ……あっ!」

 真子の声がかすれていく、絶頂迎えるサインでもあった。
真子は南那の手を抑えようとするが、南那は物ともせずに真子の性器をかき回した。

「……ひゃっ、あっ……っ…」

 真子の身体がビクンと動き南那の身体に寄りかかった。南那はそれを抱えると真子の膣から指を抜いた。

「あーあ、いつもよりエッチだったね真子」

「はぁ、はぁ、エッチなのは南那の方でしょ……」

 少し怒ったような表情を見せた真子は、南那のスカートを捲り、南那のパンツの生地の感触を確かめるように触ると同じように性器をなぞった。

「ほら、南那だって……ん」

 真子が喋り終える前に南那は唇を再び奪った。ねじこむように舌を入れると真子の口腔を犯した。また真子は感じ始める。

「真子、舐めて」

 唇を離すと、唾液の糸が引いた。もっとキスをしていかった南那だが、次の行為が待ちきれなかった。南那が真子をいじめるような行為。

 真子は南那の椅子の前に座り、南那を上目使いで見た。すると南那はパンツを下ろし片足だけ外す。南那が足を抱えると、そこにはまだまだ湿っている未成熟な性器が露わになった。真子にとって何度も見たことがある光景だが、見るたびにムズムズした感覚に襲われる。

「真子」

「はい......」

 まるで性奴隷のように真子は頷いた。真子はゆっくり唇を近づけ南那の性器に口づけをするのだった。
ちゅ、という音が鳴る。南那の性器は徐々に濡れ始めた。少し口を開き、真子は舌を這わせた。しょっぱいような苦いようなそんな味が真子の口に広がる。

「あんっ……」

南那は身体をよじらせる。真子の舌が奥に入って行く感覚が南那を興奮させていた。真子は南那の愛液を舐め取るように夢中でしゃぶりつく。興奮しているのは真子も同じだった。

「はぁっ、はぁっ、気持ちいよ真子」

 南那の性器が真子の唾液で一杯になる頃、南那も絶頂を迎えそうだった。真子は一定のリズムで舐め続けている

「真子、あっ、あっぁあぁん......!」

 南那は抱えていた足をだらんと下ろした。それに気付いた真子は最後に南那の性器をペロリと舐めると口を離した。いつも通りの快楽。今までそれを飽きもせずに何度も求めた。そして今も。




「さ、真子帰るか」

 南那が窓に貼ってある黒幕をめくると外は薄暗くなっていた。
行為後の余韻に浸っていた二人。南那が外の暗さに気付かなければ、真っ暗になるまで抱き合っていただろう。いつも行為をした後は何時間も二人でその余韻に浸ってしまう。

「そうだな。……あっ!」

 真子が何かを思い出したのか、大きな声をあげた。

「どうしたんだよ。真子」

「今日、AGBのCDの発売日なんだよ! 店に予約してたの忘れてた!」

 南那は、前に真子がCDの発売日を楽しみにしていたことを思い出した。もちろんそのときも南那は興味なさげであった。

「すまん!  取りに行かなきゃならんから今日は一緒に帰れないや!」

「そっか、残念だなあ」

「マジですまん!  じゃあまた明日な!」

「おう。また明日っ」

 真子は手を振ったあと、走って教室を出て行った。一人残された南那は寂しさがこみ上げてきていた。なぜ一人になると、寒さがこんなに増したような感覚になるのか南那には分からない。真子が温かいからなのか。
 はぁ、と溜め息をつくと南那はゆっくり歩いて教室を出た。




ーー


「すっかり忘れてた」

 真子はCDショップに向かって全力で走っていた。予約していたCDショップは決して大手の店ではない、名前も聞いたことの無い、個人商店のような店だった。いかにも潰れそうな佇まいなのだが、この町はその店しかCDを買える所が無かった。隣町だと遠過ぎる。なので真子はその店を仕方なく活用していた。
 しかも客足が少ないからか、夕方には閉店してしまう。そのため真子は全力で走っていた。

 この角を曲がれば店が見える、そう思って角を曲がったときだった。


「うわ!」

「わ!!」

 角を曲がった先に居た男に真子は思いっきりぶつかった。真子はその場に倒れ鞄に入っていたCDケースをバラまいてしまった。ぶつかった男も突き飛ばされ倒れた。

「いっったあ……てっめえどこ見て歩いてんだよ!」



 真子はぶつかった痛みと、徐々にこみ上げてくる怒りの感情で乱暴な言葉を吐くのだった。


■筆者メッセージ
こじまこはもう18歳。時が立つのは早いですね
ハリー ( 2016/02/12(金) 15:17 )