第4章
04
そして、現在。


「さてと、黒賀谷さんに

 一回報告に行ってみるか」


「あの〜、私は...」


そう言いながら、紗英がおずおずと

柊也の目の前で手を挙げる。


「まあ、お前にも俺の仕事を

 手伝ってもらうことに

 なったからな。

 ついて来い」


柊也はそう言って歩き始めた。


しかし、彼らはまだ知らない。

この先に待っている

残酷な真実を...



遠く離れた暗い部屋の中で

動く影が2つ。

1人は椅子に座り、

もう1人はその人物のすぐそばで

ほとんど動かずに立っていた。


「しかし、まさかあいつが

 出てくるとは思わなかったよ、

 なあ、ジャック」


「申し訳ありませんでした」


「別に怒っているわけではないよ。

 あいつは一線を退いたとは

 聞いていたけれど

 あんなところにいるとはね。

 全く世界が狭いというのは

 本当のことだね」


そう言って椅子に座った初老の男、

江口公造は笑った。

Joker ( 2016/03/19(土) 03:55 )