第3章
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校庭へと現れた由依とゆりあに

ガスマスクのようなものを

被った男が銃口を向ける。

しかし、老人が拳銃の上に手を置き、

拳銃を下げさせた。


「あんたたちか。

 うちの生徒のことを

 探してるっていうのは」


「その通りだよ。

 君たちの後輩...?でいいのかな。

 聞いたのに教えてくれなくてね。

 君たちは素直に教えてくれると

 うれしいんだけどね」


老人がゆりあの問いにそう答えた。


「あの人は私達にとって

 大切な人なんや。

 そう簡単に教えられへんで」


「そうかい、なら仕方ないね。

 どうなるかは分かっているだろうね...」


老人がそう言うともう1人の男が

瞬間的に間合いを詰めてきた。

その素早い動きに反応し、

後ろに飛ぶ2人。


しかし、そう動くことを

男は読んでいたのだろう。


彼は勢いをそのままに

ゆりあへとぶつかっていった。

小さな声を発しながら、

吹き飛ばされるゆりあ。


それを見ていた由依は

着地した瞬間に

ゆりあの名を叫びながら

男に殴りかかろうとした。


しかし、その拳は

男の左手によって止められ、

そのまま右手の拳で

鳩尾へのカウンターを決められた。


激しい腹部の痛みに

地面に膝をつく由依。


倒れこんだ2人の姿を見た男は

体を回転させ、

ゆっくりと老人の方へと歩き出した。


「待てや、まだ、終わってへん」


ゆっくりと立ち上がりながら

由依がそう言うと

2人は左右から同時に攻撃を仕掛けた。

Joker ( 2016/02/22(月) 11:33 )