第3章
01
「ねえ、聞いた?

 遥香さん、学校に来るらしいよ」


「知ってる。

 今日から来るんでしょ」


道を歩きながら話す2人の少女。

彼女たちが話しているのは

学校の先輩でもある

遥香の話題だった。


遥香の停学が始まってから2週間。

その間、目立った出来事は起こらず

学校側としてもこれ以上遥香を

自宅に縛り付けておくわけには

いかなかった。

遥香は今日から

戻ってくることとなっていた。


しかし、そんな遥香を探す者が...


「ねえ、君たち。

 君たちの言ってる遥香って子は

 この写真の子かな?」


2人の少女の後ろに立ち、

彼女たちに声をかけた

物腰の低そうな初老の男性。


写真の人物は確かに遥香であったが、

彼女はついこないだまで

何者かに狙われていた。

いくら優しそうな人物だといっても

教えるわけにはいかなかった。

「い、いえ、その人じゃないです」

少女たちはその写真を見て

明らかに動揺した表情をしながらも

かぶりを振った。


「そうか、どうも迷惑をかけたね。

 それじゃあね」


そう言って男は

2人の少女のもとから

立ち去っていった。

Joker ( 2016/01/17(日) 00:01 )