第1章
09
「今日は何で来たの?」


「何でって、それは遥香さんを

 守るためじゃないですか」


遥香を心配して集まったのは

かつて遥香が

部長と呼ばれていた時代に

同じく四天王と呼ばれていた、

由依・杏奈・ゆりあ・李奈の

4人だった。


玄が遥香たちの学校に来て

彼女たちもすっかりと

変わってしまったものだ。

服装も普通の女子高生のものとなり

喧嘩に明け暮れていた頃が

嘘だったかのように感じられる。


しかし、今自分の

目の前にいる彼女たちは

昔のように

スカジャンを羽織っている。


「みんなを巻き込むことは出来ない」


その様を見た遥香は

4人に静かにそう告げた。


「そんなこと、言わないでください。

 遥香さんが大事ですから」


「もう私たちは吹奏楽部じゃない。

 だからもう私は

 みんなに守られる存在じゃない」


「でも...」


遥香が申し出を拒否しても

説得しようとする4人。


「私がまいた種だ。

 自分できちんとけりをつける。

 だから、お前たちはこれ以上

 このことに関わるな」


「本気なんやな、遥香?」


「もちろんだ。

 あいつらは私を殺そうとしてる。

 その盾にお前たちを

 私は使うつもりはない」


「そっか。

 そこまで決意が固いなら

 仕方ないな...

 ここは私たちの元部長を

 信頼するしかないか...」


「ありがとう、由依。

 でも、お前たちの

 申し出には感謝してる。

 私のことを

 心配してくれてありがとう」


そう言って遥香は4人を抱きしめた。

Joker ( 2015/12/19(土) 00:15 )