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第4章
第4話
☆先に菅井様の番外編お読み下さい




その日の昼休み、俺は会長室でお叱りを受けていた。


友香「副会長が遅刻なんて他の生徒に示しがつきませんよ。」
理央「…すいません、会長。」
友香「いくら怪我をしているとはいえ、それであれば家を出る時間を早くするなり出来る事があったはずですよね。」
理央「はい。その通りです。」
友香「まして、女子生徒に囲まれながら堂々と遅刻なんて言語道断です!」




茜「珍しくない?ゆっかーがあんなに怒るなんて。」
冬「確かに。何かあったのかな。」
葵「理央先輩、可哀想〜。」
優佳「でも、遅刻はまずいですよね。会長は規律には厳しいですし。」


そんな会話がされているのは聞こえなかったが、俺と会長の所にきくさんが寄って来て話し始めた。


久「ゆっかー、そろそろ良いんじゃない?」
友香「グミちゃん。でもこういう事はしっかり反省して頂かないと。」
久「反省してるよね理央君。」
理央「はい。本当にすいませんでした。」


頭を下げていると、きくさんが会長のそばに寄り、何やら耳打ちしている。


久「…どうせヤキモチ焼いたんでしょ?女の子に囲まれてる理央君見て。」


その直後、顔を真っ赤にしながらいつもより大きな声で、


友香「そ、そんなんじゃありません!…とにかくこのような事がないように。分かりましたか理央君。」
理央「はい。」
友香「では罰として放課後に体育祭の残務処理をやって頂きます。」
理央「あの、今日は病院なので明日からで良いでしょうか。」
友香「それで結構です。」
葵「私も手伝いますよ、理央先輩。」
理央「葵ちゃん。」
友香「いえ、今回は罰なので理央君1人にやって頂きます。全員手を貸す事のないように。私が監視しますから。」
「「「「はーい。」」」」


久「取りあえず、昼休みのうちに運営の反省点、改善点を拾い出しておこうか。」
茜「各クラスの実行委員にはアンケートをすでに配布してあるので、明日までに提出するよう通知してあります。」
友香「ではそのアンケートが集まりましたら、それらをまとめて後日全校朝礼で報告します。そこまで理央君にやって頂きます。」
理央「はい。」
葵「頑張って下さい、理央先輩。お手伝いは出来ないけど応援してます。」
理央「ありがとう。良い子だなぁ葵ちゃんは。」
葵「そうですか?えへへ。」


葵ちゃんの頭を撫でていると、


友香「理央君、1年生の2人を甘やかし過ぎです!」
理央「は、はぁ。」
茜「どうしたの?」
冬「虫の居所悪いのかな。」
優佳「会長恐いです。」
久「ほら、みんな気にしてるから落ち着きなさいって。」
友香「私は落ち着いています!」
久「ちょっと理央君、ゆっかー落ち着かせて。」
理央「え、どうやってですか?」


そう言うと、きくさんが耳打ちする。


理央「…それで大丈夫ですか?」
久「大丈夫、大丈夫。じゃあお願い。」
理央「はぁ、分かりました。」


俺は立ち上がり、会長の後ろに立つ。


友香「な、何をするんですか?」
久「いいから動かない。」


俺は会長をそっと抱きしめる。
いわゆる『あすなろ抱き』と言うやつだ。


「「「「おお〜」」」」
友香「り、理央君?」
理央「…俺、いつもの優しくて笑顔の会長が好きです。機嫌直してもらえませんか?」

優佳「会長顔真っ赤です。」
友香「わ、分かりました!分かりましたから、離れて下さい!」
久「ホントに離れていいの〜?」
友香「それは…あ、いや、と、とにかく離れて下さい。」


そう言われて離れると、


友香「もう、顔から火が出そう…。」
冬「その割に一瞬ニヤけてたよ、ゆっかー。」
茜「ね、嬉しそうだったよ。」
友香「みんなももうやめて下さい。…理央君、そういう事誰にでもするんですか?」
理央「誰にでもって、そんな訳ないでしょう。」
茜「じゃあ私には出来る?」
冬「あれ?あかねんも理央の事気になってる感じ?」
茜「う〜ん。この間泣かされちゃった時はドキッとしたけど。」
理央「そうなの?ただ茜に感謝の言葉を掛けただけなんだけど。」
茜「で、どうなの?」
理央「…菅井様の目が怖くてここでは到底出来ません。」
久「ホントだ。せっかく機嫌取ったのに。」
友香「そんな事ありません!」


そう言うと、いつものように大きな弁当をもの凄い勢いで食べる会長。

その姿を横目に、後輩達がひそひそ話す。


冬「…ゆっかーって結構嫉妬深いんだね。」
茜「…そうだね。理央弄りはあまりしない方が良いかも。」
葵「…会長こわ〜い。」
優佳「…初めて見ました、あんな顔。」


友香「………。」
久「…素直になれば良いのに。」
友香「私はいつでも素直です!」



俺、明日から大丈夫なのかな…。




hinata ( 2018/02/01(木) 21:43 )