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第3章
第6話
昼休み。


理央「腹減ったな、さすがに。」
理佐「うん、お腹空いたね。」
愛「早くご飯食べよう。」


教室に向かって歩いていると、後ろから声を掛けられる。


友梨「理央さん!」
理央「どうした友梨奈?」
友梨「一緒にお昼食べて貰えませんか?」
理央「ああ、良いけど。じゃあ屋上で食べるか。」
友梨「はい、ありがとうございます。」
理佐「理央、私も。」
愛「私も行く。」
理央「…でしょうね。良いか友梨奈。」
友梨「はい。」


教室に寄り、弁当を持って屋上に向かう。


設置されてるベンチに座ると友梨奈が、


友梨「理央さん、これ作ったので食べて貰えませんか?」
理央「へえ、ありがとう。遠慮なく頂くよ。」


友梨奈から手渡されたのはサンドウィッチ。
形も綺麗だし、色合いも良い。
1つ手にとって口に運ぶ。


理央「…美味い。友梨奈料理出来るんだな。」
友梨「初めて男の人に作りました。美味しいって言って貰えて嬉しいです。」
理央「俺も女の子に初めて弁当作ってもらった。」
友梨「やった、理央さんの初めて頂きました。」


そう言って微笑む友梨奈。
すると、向かいに座る理佐が


理佐「…次は私が理央の分のお弁当作る。」
理央「本当?俺、理佐が台所に立つところ見た事ないけど。」
理佐「…お弁当くらい作れるし。」
理央「じゃあ楽しみにしておくわ。」


その話を聞いていた愛佳は、


愛「理央、私あんまり料理得意じゃないから、今度一緒に弁当作って遊びに行かない?」
理央「愛佳はそのパターンか。ま、良いよ。でもいつ?」
愛「明日は?振替で休みだし。」
友梨「明日は私とデートです。」
理佐「…へえ。」
理央「理佐、目が怖いぞ。」
愛「じゃあ、今度の土日は?」
理央「土曜日バイト、日曜日は予定が入ってる。」
愛「日曜の用事って?」
理佐「家では何もない。…もしかして莉菜さんと?」
理央「…まあ。」
愛「じゃあその後の休みは私が予約するから、良いよね理央?」
理央「分かった。…後、理佐。」
理佐「…何?」
理央「…箸、折れてるぞ。それにそんなに恐い顔するな。」
理佐「ふんっ!」


ランチバッグから予備の箸を取り出し、黙々と弁当を口に運ぶ理佐。


友梨奈の作ってくれたサンドウィッチは美味かったが、何とも言えない空気が場を包んでいた。







そんなこんなで午後の競技が始まる。
午後イチの競技は綱引きだ。


茜「須藤君後ろ任せたわよ。」
哲「ああ、任せろ。」


パワー系エースの須藤が縄を身体に巻きつけ準備する。


『パンッ』
号砲と共に競技が始まる。


B組は一糸乱れぬ低い姿勢で相手が引く隙を与える事なく、次々と勝ち上がる。


そして決勝はやはり身体能力の高いA組だ。
男子に関してはウチの方が運動能力が高いのが揃っているが、女子は各運動部のエースクラスが揃っている。


1対1で迎えた3回戦、体力的に厳しくなった女子メンバーの動きが乱れ、わずかな差でA組に敗れる。


梨香「ゴメンあかねん、私が…。」
菜々「私も力抜けちゃった。」
茜「ドンマイ、尾関も菜々香も練習頑張ってたのは知ってるから。相手が強かったのもあるし、まだ大丈夫。最後のリレーで挽回しよう!」


責任を感じているクラスメイトに、励ましの言葉を掛ける軍曹。


理央「…あいつは立派なリーダーだな。」
悠「練習の時は鬼軍曹だったけどな。でもしっかりまとまったよな、ウチのクラス。」
理央「周りもちゃんと見てるから、褒める所と引き締める所のさじ加減が上手いし。」
悠「やっぱり優勝するしかないな。」
理央「だな。悠、リレーのトップバッターで流れ作ってくれよ。」
悠「アンカーに余裕持たせられるくらいか?」
理央「なら最高の展開だけどな。」





そして、最終種目のクラス対抗リレーが始まる。


ウチのクラスは前半、後半に速い選手を並べた。前半でリードを作り、仮に中盤で抜かれても後半で逆転を狙える構成にしている。



号砲と共に悠が飛び出す。
一気に差を付けて、2番手の小林にバトンを渡すと更に差を付けていく。


練習の成果もあって、バトントスが流れる様に行われスピードも落ちない。


理央「みんなやるじゃん。」
理佐「あれだけ練習したもん。走り方変だった尾関とかも理央が教えたお陰でフォーム綺麗になったし。」
理央「後は中盤どれだけ我慢できるかだな。A組のアンカー、陸上部の青山だし、俺も結構厳しいからな。」
理佐「…負けないでね。」
理央「負ける気は更々無いけどな。」


中盤やはりA組に追い付かれ、石森の所で抜かれてしまった。


理央「愛佳、頼むな。」
愛「任せて、絶対抜くから。」


そう言って、レーンに入る愛佳。

虹「ゴメン愛佳。」
愛「上出来。」


バトンを受け取るや否や、勢い良く走り出す愛佳。


愛佳でA組に追い付くと、その後は競合いが続き、アンカー前の茜と加藤史帆が並んで走ってくる。
タイムは加藤の方が速いはずだが、茜は必死に食い下がってくれた。


茜「理央、お願い!」
理央「…任せろ。」



やはり、バトントスはウチが上だ。
ここで3m程の差が付き、俺が前を走る。


しかし相手は陸上部の短距離選手。
少しずつ差が詰まってくる。


残りは10m、ここで青山に並ばれる。
しかし、相手も無理をして詰めてきたのか伸びて来ない。


その瞬間、


理佐「行けー!理央ー!!」
愛「負けんなー!!」


聞いたことのないくらい大きな声が聞こえた。


その声援が背中を押しゴール前、ほんの僅か前に出てそのままゴールする。


理央「…勝った。痛、」


その瞬間、膝の痛みを感じ座り込む。
そこへ、


「「「理央ー!!」」」
「は?っておわっ!!」


クラスメイト達が俺の元になだれ込む。


理佐と愛佳が抱きつき、倒れ込むとその上に何人もがのしかかる。


理央「おいっ、重いし理佐と愛佳が怪我したら困るから降りてくれって。」


そう言うと、離れてくれるクラスメイト達。


理央「理佐、愛佳大丈夫か?」
理佐「うん、それより理央は?膝痛いんじゃ…。」
愛「だから座り込んだんでしょ?ゴメンはしゃいじゃって…。」
理央「痛いのは痛いけど、これで暫くは何もないからな。ま、大丈夫だろ。」


そうして2人の肩を借りて立ち上がると、茜が俺の前に立ち、


茜「ありがとう理央。カッコ良かったし、理央がクラスメイトで良かった。」


そう言って右手を差し出す。


理央「どういたしまして。もしかして惚れちゃった?」
茜「何言ってんのよ、バカ理央。」
理央「冗談、でも今日優勝出来たのはお前のお陰だよ、茜。お前がクラスを1つにしたんだ。その姿勢で、その情熱で。茜がいて良かった。こちらこそありがとう。」


そう言って握手すると、


茜「ちょっと、そんな事言われたら…泣いちゃうでしょ〜。」


泣き出した茜を女子達が笑顔や、もらい泣きしながら取り囲む。


理佐「いい事言うじゃん、理央。」
愛「でも、ホントの事だしね。」
理央「そういう事。さてと、悪いけど救護テントまで連れてって貰っていいか?膝をアイシングしたいんだけど。」
「「うん。」」






閉会式、優勝トロフィーを校長から受け取った茜の笑顔は、最高に輝いていた。




■筆者メッセージ
体育祭。せっかくのイベントにも関わらず2話で終わらせてしまうとは。


どうもhinataです。


昨日は仕事が忙しく更新できませんでした。

次なんですが、番外編を挟みたいと思います。
メインストーリーの4人の女の子以外をピックアップするものです。
望んでいるものかは分かりませんが、読んでいただけると幸いです。


ではまた。
hinata ( 2018/01/25(木) 22:12 )